米国のドナルド・トランプ大統領が韓国の対米投資計画を発表し、アラスカ州の液化天然ガス(LNG)事業におよそ540億ドル(約73兆ウォン=約8兆4700億円)を投じる案を盛り込むことが分かった。韓国政府は最近、アラスカLNG開発事業の収益性をさらに検討した上で推進するかどうかを決めると国会に報告していたが、トランプ大統領が11月の中間選挙を前にこの事業を既成事実化し、投資の成果としてアピールしようとしているのではないかとの見方が出ている。
ホワイトハウスは9月29日(現地時間)、トランプ大統領が30日午後(韓国時間1日未明)、ハワード・ラトニック商務長官とともにホワイトハウスで「発表」を行うと予告した。ブルームバーグ、ロイターなど海外メディアは複数の関係者の話として「この発表は、韓国の2000億ドル規模の対米投資計画だ」と報じた。この計画には、長期間遅れていたアラスカLNG事業のために540億ドルの資金を投じる案が含まれるという。発表には、アラスカ州を地盤とする共和党のダン・サリバン上院議員、ニック・ベギッチ下院議員、アラスカ州のマイク・ダンリービー知事も出席した。
トランプ大統領が積極的に推進してきたアラスカLNG事業は、アラスカ北部の天然ガスを南部沿岸まで運び、輸出する超大型エネルギー事業だ。アラスカ最北端ノーススロープのガス田で生産した天然ガスを、全長およそ1300キロメートルのパイプラインで南部ケナイ半島のニキスキまで送り、液化した後、LNG運搬船に積んで韓国や日本などアジア市場に輸出する計画だ。計画されている年間LNG生産能力は約およそ2000万トンに上る。
同事業の強みは、アジア市場との距離にある。アラスカ南部でLNGを船積みすれば、メキシコ湾岸の輸出施設とは異なり、パナマ運河を通らずに北東アジアへ送ることができる。中東の供給途絶を懸念する購入国にとっては、輸入先を多角化する選択肢にもなり得る。日本のJERAと東京ガスは、事業が実現した場合、年間計200万トンを購入する予備契約も結んでいる。
◇米アラスカLNG、イラン戦で価値上昇…収益性は未検証
ただし、ガスを販売する前に数十兆ウォン規模の施設を建設しなければならないため、収益性が不透明だとの指摘が絶えなかった。事業費は開発会社側がおよそ440億ドルと見積もっているが、外部からは600億ドルを超える可能性があるとの分析も出ている。工事が遅れたり費用が増えたりすれば、投資収益率も変わる。アラスカLNG事業が長い間着工に至らなかった背景にも、費用と資金調達、商業性の問題がある。
韓国政府がこの事業を「さらに検討する対象」に分類したのも、こうした不確実性のためだ。金正官(キム・ジョングァン)産業通商部(省に相当)長官は22日、国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会に出席し、対米戦略投資の第1号事業としておよそ223億ドル規模の、テキサス州エンシナルでのガス複合火力発電所建設を推進することにしたと報告した。一方、米国国内での原子力発電所8基建設とアラスカLNG開発事業については、推進するかどうかさらに検討すると主張した。産業通商部の非公開での報告を聞いた同委員会のある委員は報道陣に対し、「政府は、アラスカLNG開発事業についてはまだ具体化したことはなく、商業性を判断するには早いと説明した」と語った。
それにもかかわらず、トランプ大統領が投資計画の発表を急ぐ背景には、政治的計算が働いているとの分析が出ている。アラスカ州では11月の中間選挙を前に、再選を目指す共和党のサリバン上院議員が民主党のメアリー・ペルトラ候補と接戦を繰り広げている。米国メディアがサリバン氏を共和党の弱い現職議員の一人に挙げる中、同氏が選挙運動で積極的に推進すると掲げてきた事業がアラスカLNG開発だ。
トランプ大統領も、アラスカLNG事業とサリバン上院議員の再選を結び付けて言及したことがある。先月2日、ホワイトハウスで「日本や韓国などがアラスカに来て燃料と石油を積み、パイプラインを建設するだろう」と述べ、「サリバン氏はすばらしい仕事をした」と語った。さらに、サリバン上院議員の選挙を支援するためアラスカを訪問する、と打ち明けた。
トランプ大統領が今回、韓国からの資金が現地の大型エネルギー事業に投じられる計画を発表すれば、サリバン上院議員はこれを雇用創出と地域開発の成果として打ち出せるようになる。ロイターも今回の発表について、中間選挙を控えたトランプ政権による経済・投資成果のPRの動きと関連付けて報じた。
2026/10/01 11:23
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