釜山病【萬物相】

投稿者: | 2026年10月4日

 毎年秋になると釜山に下った。釜山国際映画祭を取材していた映画担当時代の話だ。昼は南浦洞の薄暗い上映館にいたが、夜になると月見峠(ダルマジゴゲ)に駆け付けた。月明かりあふれる尾浦と青沙浦は、それ自体が巨大な居酒屋だった。空にも、海にも、焼酎グラスの中にも月があった。映画担当を終えた後も、秋になると心が浮き立った。「釜山病」だった。

 しかし、そのころ出会った釜山の友人たちの表情は暗かった。青年たちは仕事を探して首都圏へ去り、都市には「老人と海」だけが残ったという自嘲が蔓延していた。実際、釜山は大韓民国の7大特・広域市の中で最も早く超高齢社会(65歳以上が20%以上)に突入した。高齢化と人口減少という暗い影が都市を押し潰していた時代だった。

 そんな釜山が再び活気を取り戻している。釜山の魅力を発見した外国人が爆発的に押し寄せているおかげだ。昨年釜山を訪れた外国人観光客は364万人で、過去最多だったが、今年は勢いがさらにすさまじい。8月初めにすでに300万人を突破した。訪問客数より目を引くのは支出規模だ。7月までの外国人カード支出額だけで7400億ウォン(現在のレートで約860億円)を超え、前年同期比で60%以上急増した。台湾、中国、日本、アメリカの順に多く訪れるというが、米シアトル出身のある観光客はソーシャルメディアにこんな書き込みを残した。「釜山から帰ってきたが、すでに『釜山病(Busan Disease)』を患っている。今すぐにもまた行きたい」

 外国人が挙げる釜山の最大の魅力はギャップだ。海岸沿いに超高層の摩天楼が屏風のように立ち並ぶ都心のすぐ隣に、6・25戦争当時釜山が韓国の臨時首都だった「避乱時代」のころの暮らしと活気が交差するチャガルチ市場や山腹道路の路地裏が共存している。ソウルの洗練された雰囲気とはまた違う、潮風にも似た、荒削りでありながらも懐かしい人間味がある。ソウルにはない、いや世界的にも珍しい海と摩天楼の組み合わせ。「アジアのマイアミ」という賛辞が贈られている。

 歌手のチェ・ベクホは「釜山に行けば」で歌った。「釜山に行けば再び君に会えるだろうか / 美しい髪をなびかせて僕を出迎えてくれた / あの釜山駅前は本当にとても変わったな…」 かつての釜山病が郷愁を誘うホームシックだったとすれば、今の釜山病は外国人からのラブレターだ。「今回の旅行は良かった」という単純な感想を超え、「病んでいる」と語る外国人が増えている。「老人と海」と呼ばれていた都市は今、世界の青年の活気がみなぎる国際都市へと生まれ変わっている。外国人が共に恋しがる、「嬉しい恋煩い」だ。

2026/10/04 08:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/10/02/2026100280100.html

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