8月1日に予定された米国の25%相互関税施行を控え、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が29日にワシントンに向け出発した。半導体投資拡大などで米国との関税交渉を側面支援すると予想される。具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相兼企画財政部長官も31日に開かれるベッセント米財務長官との交渉に向けワシントンに発った。具副首相は「韓国が準備しているプログラム、そして韓国の状況をよく説明し造船業と韓米間で中長期的に協力できる分野もしっかり協議するようにしたい」と話した。
産業通商資源部の金正官(キム・ジョングァン)長官と呂翰九(ヨ・ハング)産業通商資源部通商交渉本部長もラトニック商務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表らと早ければ29日にワシントンで会って交渉する。金長官はワシントンとニューヨーク、スコットランドを行き来しながらラトニック長官と交渉を進めてきた。
李会長は米国との交渉で切り札として登板すると予想される。今回の米国行きは李会長の司法リスクが解けてから選択した初めての海外行きだ。24日には非公開で李在明(イ・ジェミョン)大統領と夕食をともにした。李会長が米国内の半導体投資拡大などを提案する可能性もある。
米テキサス州オースティンでファウンドリー工場を運営しているサムスン電子は2030年までに370億ドル(約5兆4939億円)以上を投資することを決めている。テスラとは28日に過去最大規模となる22兆8000億ウォン(約2兆4386億円)規模のファウンドリー供給契約を結んだ。
◇「米国、中国牽制への参加圧力も」…悩み深まる韓国政府
トランプ政権は27日に欧州連合(EU)への関税を15%と決めながらも半導体装備には相互無関税で合意するなど、先端技術分野の戦略的品目は別に取りまとめている。韓国はサムスンの投資をテコに、8月初めの発効が予告された半導体品目関税の引き下げまたは除外を米国に要請すると予想される。ハンファの金東官(キム・ドングァン)会長も関税交渉支援に向け訪米し交渉団に合流した。米国のフィリー造船所を買収したハンファグループは「MASGAプロジェクト」の核心軸に選ばれる。
韓国政府は米国に提案した造船産業協力プログラムであるMASGA(Make American Shipbuilding Great Again)プロジェクトに期待をかけている。
韓国政府関係者は「造船業復活はトランプ大統領の関心事であるだけにとても具体的な提案をした。交渉は密度あるように進行している」と話した。
最終交渉で残ったカギのひとつは対米投資規模と、コメと牛肉など農産物市場の開放範囲だ。米国と関税交渉を終えた英国と日本などは関税を下げるための交渉カードとしていずれも農畜産物市場開放を出した。当初コメなど農産物開放を受け入れることはできない「レッドライン」としていた韓国政府も交渉テーブルに農産物開放を再び載せた。
牛肉市場開放はトランプ大統領など米国政界での開放圧力が激しい事案だ。韓米議員連盟所属で最近米国を訪問した与党「共に民主党」の金永培(キム・ヨンベ)議員は「米国の議員と会った席でコメを具体的に話したことはなく、牛肉の月齢輸入制限に対する不満を露骨に伝えられた。このほかリンゴなどの果物検疫制限も言及された」と話した。月齢30カ月以上の米国産牛肉輸入を禁止する国は韓国を除くとロシアとベラルーシだけだ。通商専門家は「トランプ大統領の立場では2008年から16年にわたり閉ざされている牛肉輸出が完全に解決したという戦利品が交渉カードとしてうまく受け入れられるかもしれない」と話した。
牛肉の場合、コメと違い残りの国との通商問題がないことも長所だ。現在韓国は米国、中国、オーストラリア、タイ、ベトナムの5カ国のコメをあらかじめ合意した割合により低率関税割当制で輸入している。米国からの輸入量を増やすには中国など残りの国との合意が必要だ。交渉過程で他の国もコメ輸入拡大を要求する恐れもある。ただ牛肉の場合、国内政界の反発を超えなければならないという課題がある。民主党内では反対の声が出ている状況だ。
米国が米中覇権対立で中国を牽制するのに韓国が一定部分の役割をしなければならないと要求した事実も伝えられた。韓国政府としては悩みが大きい。通商当局核心関係者は「中国を排除した供給網構築と米国が進める中国の先端技術牽制に参加しろという圧力が激しい。米国は韓国が中国への知識と技術の流出ルートになるのではないかとの懸念も伝えてきた」と話す。ベトナムの場合、自国を経由した中国製品の海外輸出を遮断する条件で関税交渉をした。韓国は技術安全保障強化などの案を米国に提示したという。
2025/07/30 07:04
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