李在明(イ・ジェミョン)大統領が15日、光復節記念演説で、北朝鮮に対し「9・19南北軍事合意」を先制的かつ段階的に復元していくと述べた。また、韓日関係では過去の歴史にしっかり向き合いつつ、実用外交に乗り出す意向を明らかにし、日本政府にも両国間の信頼が損なわれないよう努力することを求めた。国内的には分裂の政治から抜け出し、連帯と共生の政治を回復することを力説した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の内乱画策を乗り越えて迎える今年の光復節(独立記念日)は、乙巳勒約(第二次日韓協約)から120年、解放から80年、韓日国交正常化から60年という歴史的にも特別な意味を持っている。列強が植民地争奪戦を繰り広げた19世紀末の状況を彷彿とさせる大激変の国際情勢を賢く乗り越えていくためには、国内の和合と南北間の緊張緩和、日本との協力強化が緊要だ。そのような点で、李大統領の演説は大きな方向において時宜にかなっている。
演説で最も注目すべきなのは、南北関係改善の意志を強く示した点だ。李大統領は「多くの浮き沈みの中でも続いた南北対話が、前政権を通して途絶えてしまった」とし、「もつれた糸は、忍耐を持って一つひとつ解いていかなければならない」と述べた。さらに「遠い未来を語る前に、今すぐ信頼回復と対話の復元から始めるのが順序」だとし、「9・19軍事合意を先制的かつ段階的に復元していく」と語った。9・19軍事合意の復元はビラ散布の中止、北朝鮮向け拡声器放送の中止、北朝鮮向け拡声器の撤去などに続き、南北間の信頼回復に大きく役立つものと期待される。李大統領が「北朝鮮側の体制を尊重し、いかなる形の吸収統一も求めず、一切の敵対行為をする考えもないことを明確にする」とした点も改めて目を引く。極めて当然のことだが、尹錫悦政権が事実上の吸収統一を推進し、戦争を誘導しようとする行動まで見せたためだ。尹政権の間、北朝鮮がずっと神経を尖らせていた点を考えると、真摯な言葉と行動で北朝鮮に手を差し伸べなければならない。北朝鮮も対話復元の要求に積極的に応え、朝鮮半島の緊張緩和に乗り出してほしい。
李大統領は韓日関係については「過去にしっかり向き合いつつ、未来に進む知恵を発揮しなければならない」と述べ、歴史問題と経済協力などを切り離してアプローチする「ツートラック基調」を再確認した。李大統領は「日本は庭を共有する隣国であり、経済発展において切り離して考えることのできない重要なパートナー」だとし、「国益中心の実用外交の原則に基づき、シャトル外交を通じて頻繁に会って率直に話し合いつつ、日本と未来志向的な共生協力の道を模索する」と述べた。李大統領は日本政府に対して「過去の痛ましい歴史にしっかりと向き合い、両国間の信頼が損なわれることがないよう努力してくれるものと期待している」と(呼応を)呼びかけたが、日本がそれにどれほど応えるかは不透明だ。日本の石破茂首相はこの日、全国戦没者追悼式典で「戦争の惨禍を決して繰り返さない」とし、「あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まなければならない」と述べた。首相の式辞に13年ぶりに「反省」という言葉が登場したが、2012年まで「反省」と共に取り上げられた「侵略」や「加害」は見当たらなかった。また、次期首相候補に挙げられる小泉進次郎農林水産相と高市早苗元経済安全保障相が同日、第二次世界大戦のA級戦犯が合祀された靖国神社に参拝した。日本の政治指導者たちのこのような行動は、日本が果たして心から反省しているのかという疑念を抱かせる。
今日の国際情勢は、4年目を迎えたロシアとウクライナの戦争やドナルド・トランプ政権の敵と同盟を構わない関税戦争、長期間にわたる米中対立などで、一寸先も分からない不確実性と危険に満ちている。第二次世界大戦後に作られた外交安保と経済秩序が根本から乱れている。このような時こそ、南北は能動的に朝鮮半島の緊張緩和に乗り出すことで、大国の利害関係に振り回されないようすべきだ。日本とも経済・通商協力を拡大することで、トランプ政権の一方主義を牽制していかなければならない。
2025/08/15 18:35
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