球速重視が災い? MLBから姿を消した韓国人投手

投稿者: | 2025年8月20日

 2021年の韓国プロ野球では、下位グループの順位争いを「シム・ジュンソク・リーグ」と呼んだ。同年最下位になるチームが翌年の新人ドラフトの際、徳寿高校の「超有望株」シム・ジュンソクを獲得できる可能性が高かったためだ。しかし、シム・ジュンソクは韓国プロ野球に代わってMLB(大リーグ)への挑戦を選択した。高校生でありながら160キロに迫る剛速球を投げていたシム・ジュンソクは、23年1月にピッツバーグ・パイレーツと契約を交わした。

 米国で3度目のシーズンを送っていたシム・ジュンソクが8月6日、マイアミ・マーリンズから放出された。慢性的な肘と腰の負傷によりマイナーリーグでも最下位となるルーキーリーグを転々とし、最終的にユニホームを脱ぐことになった。馬山ヨンマ高校出身のチャン・ヒョンソクも2023年8月、LAドジャースと契約を交わして米国に渡ったものの、現在シングルAにとどまっている。韓国プロ野球のLGを経て渡米したコ・ウソクもMLBでのデビューが容易でない状況だ。

■日本はもちろん台湾にも先を越され

 韓国プロ野球で過去最高の人気を誇った金河成(キム・ハソン)、李政厚(イ・ジョンフ)、金慧成(キム・ヘソン)といった打者がMLBで活躍しているが、野球ファンたちの間では「MLBから韓国人投手が消えた」ことに対する無念な思いが広がっている。柳賢振(リュ・ヒョンジン)が2023年9月30日、トロント・ブルージェイズのユニホームを着てマウンドに上がったのが、MLBにおける韓国人投手の最後の登板記録だ。

 こうした中、台湾は2日、鄧愷威がサンフランシスコ・ジャイアンツの先発投手としてニューヨーク・メッツ戦に登板し、今季「メジャーリーガー投手」の保有国となった。マイナーリーグにも10人前後の台湾投手が布陣している。一時ライバルと思われていた日本は、数段階先を行っている。投打二刀流を担う大谷翔平はもちろんのこと、山本由伸、佐々木朗希(以上LAドジャース)、今永昇太(シカゴ・カブス)、千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)など、MLBでエース級の活躍をする選手が多い。現在各チーム40人のロースター(登録枠)に登録されている日本人投手だけでも10人に上っている。

 もともと韓国人メジャーリーガーは投手がほとんどだった。1994年、韓国人として初めてMLBのマウンドを踏んだ「パイオニア」朴賛浩(パク・チャンホ)を皮切りに、2013年の林昌勇(イム・チャンヨン)まで20年間にMLBデビューした韓国人選手14人のうち、実に12人までが投手だった。しかし、15年から今年にかけてMLBに進出した韓国人選手13人のうち、投手は呉昇桓(オ・スンファン)、金広鉉(キム・グァンヒョン)、梁玹種(ヤン・ヒョンジョン)の3人だけだ。21年にテキサス・レンジャーズでプレーした梁玹種以降、KBO(韓国プロ野球)からMLBに直行した投手は皆無で、高校卒業後、米国に渡ってMLBの夢をかなえた投手も見当たらない。

 MBCスポーツで解説者を務めるソン・ジェウ氏は「高校卒業とともに渡米した投手たちが相次いで失敗し、最近は才能のある選手たちがひとまず韓国国内に残るケースが増えている」とし「最近は米国側の期待感が低くなったせいか、契約金も安くなっている」と話す。今年テキサス・レンジャーズに入団したキム・ソンジュン(18)が契約金120万ドル(約1億7800万円)でサインしたが、これさえも2017年のペ・ジファン(125万ドル=約1億8500万円)以来8年ぶりに100万ドル(約1億4800万円)を突破したケースだった。

2025/08/20 09:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/08/18/2025081880009.html

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