この日本の雑誌は、戦後日本の平和主義を前面に押し出しつつも、北朝鮮の核開発については寛大な態度を示してきた。「金日成(キム・イルソン)には核開発の意思と能力がない」という主張を代弁し、ついに1990年代に至って北朝鮮の核開発が現実のものとして迫ってくるや、今度は「米国の脅威に対抗して体制を守ろうとするもの」「交渉のカード」という論理で北朝鮮を庇った。2006年に北朝鮮が初めて核実験をすると米国責任論を強調し、事実上、北朝鮮の核保有を容認する態度を見せた。
その雑誌とは「世界」だ。過去80年間、「日本最高の評論誌」「進歩的知識人の公論の場」とみなされてきたメディアだ。大物の政治学者で国民大学名誉教授の著者は、韓国左派に極めて大きな影響を与えた「世界」知識人の虚像を暴き出す本書を2008年に上梓した後、北朝鮮の核問題に光を当てる部分を新たに1章追加し、このたび改訂増補版を出版した。
韓半島問題を巡って、「世界」は絶えず北朝鮮・親北の心情を示してきた。「在日朝鮮人帰国者たちは地上の楽園(北朝鮮)に安着した」「青瓦台襲撃武装ゲリラは南朝鮮で起きた革命運動」のように、今になって見ればでたらめな主張が堂々と載っていた。なぜ? 戦後日本のいわゆる進歩知識人たちが、戦争の原因を国家主義と植民主義に帰した結果、「軍部を核とする右翼勢力」が批判の対象になった。サンフランシスコ平和条約で戦勝国の地位を主張する李承晩(イ・スンマン)大統領に対する反発も加わった。南北についての意見を開陳するときは、最小限の事実に基きもしなかった。著者はここに、いわゆる進歩知識人の虚偽の意識が鮮明に現れている、と峻厳に批判している。448ページ、1万8000ウォン(約1910円)
兪碩在(ユ・ソクチェ)歴史文化専門記者
2025/08/24 07:00
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