韓国与党・共に民主党が野党・国民の力所属の呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、劉正福(ユ・ジョンボク)仁川市長、金鎮台(キム・ジンテ)江原道知事を名指しし、特別検察官(特検)に3人を対象とする捜査を要求した。3人は非常戒厳宣布当日に庁舎を閉鎖して非常会議を開いたため、内乱に加担した疑いがあるということだ。鄭清来(チョン・チョンレ)共に民主党代表は9月1日、「今は解放政局(日本による植民地支配から解放された直後の政局)における反民族行為特別調査委員会(反民特委)の状況と似ている」と述べた。全賢姫(チョン・ヒョンヒ)三大特検対応特別委員長は「地方選挙は内乱勢力の清算と中央・地方統合政府を完成させるフィナーレだ」と言った。呉世勲ソウル市長ら該当の地方自治体首長は「庁舎を閉鎖したことはない」「事実関係が合っていない陰謀論だ」と反論した。
昨年12月の非常戒厳宣布当日の状況を見れば、国務委員(閣僚)の大多数が戒厳を事前に知らないまま国務会議(閣議)に出席しており、国民の力所属議員たちも事情は同じだった。内乱ほう助容疑で請求された韓悳洙(ハン・ドクス)前首相に対する拘束令状を裁判所が棄却したのも、このような状況で特検が捜査対象を過度に拡大するのを警戒したためだ。共に民主党も、閣僚や国会議員の大多数が戒厳令を事前に知らなかったことを知らないはずがない。特に呉世勲ソウル市長は非常戒厳宣布直後、「戒厳に反対する。戒厳は撤回されるべきだ」という見解文を発表している。
その共に民主党が、国民の力所属の自治体首長らと非常戒厳を結び付けて捜査を求めているのは、来年6月の地方選挙を念頭に、得票数を計算しているためだろう。捜査対象として名指された広域自治体は、最近の大統領選挙や総選挙では共に民主党がリードしていたが、3年前の地方選挙では共に民主党が敗れている地域だ。つまり、共に民主党としては奪還しなければならない地域だと言える。共に民主党の候補者としてソウル市長などに出馬を検討している人々が、国民の力の自治体首長に対する捜査を要求しているのも、あまりにも露骨だ。
共に民主党は特検の捜査範囲や人員を増やし、捜査期間も延長する特検法改正案を推進している。それに加え、内乱特別裁判部設置のための特別法も準備している。9人で構成される特別裁判部候補推薦委員会から国民の力を排除するという内容だ。特検も共に民主党が推薦して任命していたが、内乱裁判部まで同じ方式で行うということだ。裁判所行政処(省庁の一つ)処長は国会で、「内乱裁判部設置は司法府の独立を侵害する素地がある」と述べた。侵害する「素地」どころではなく、深刻な侵害だ。特検と特別裁判部によって相手の党の候補者を排除し、選挙で勝とうという発想の試みは、過去のどの政権にもなかったことだ。
2025/09/02 13:30
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