最近中国が韓国国債の保有額を急速に増やし、直接投資と株式・不動産投資も膨らんでいる。「チャイナマネーの襲来」は韓国の国内投資を活性化するプラスの側面がある一方、金融業界は韓国経済がチャイナマネーに左右されかねないリスクも高まっていると指摘する。
■韓国国債、中国が米国の2倍以上保有
国会企画財政委員会の崔殷碩(チェ・ウンソク)国会議員(国民の力)が入手した資料によると、8月末時点で中国などアジア各国による韓国国債保有額は138兆7860億ウォン(約14兆7000億円)で、欧州(109兆ウォン)、米州(27兆ウォン)、中東(14兆ウォン)をはるかに上回る。アジア各国による韓国国債保有額は2021年末に比べ38兆ウォン増え、米州の増加幅(7兆ウォン)の5倍を超えた。アジア各国による韓国国債への投資急増は、主に中国によるものだ。過去10年間、アジア各国の中で中国は韓国国債の保有を着実に増やしており、韓国国債保有国の順位でトップの座を保っている。その結果、2位の米国とは保有額の差が2倍以上に広がった。
中国は米国との貿易戦争が展開された過去10年間、米国債を売却し、投資先を多角化した。韓国はコロナ期間にも国債利回りが年3%前後(10年物)を維持し、中国にとっては低金利の欧州や日本などに比べ魅力的な投資先だった。
しかし、国債保有が特定国に集中すると、経済だけでなく政治・外交などにも「裏の影響力」が強まりかねない。例えば、中国の継続的な売却などで米国債価格が下落(金利は上昇)したように、中国が「韓国売り」に出れば、金融市場が大きく動揺しかねない。
崔議員は「対外リスク管理という意味で資金調達構造が一方に偏らずにバランスを取ることが重要だ。政治・外交的な不確定要素を減らし、韓国の金融市場の予測可能性を高める必要がある」と話した。
■株式・不動産にも買収攻勢
中国は韓国企業への投資も引き続き増やしている。昨年の中国(香港を含む)による韓国への直接投資申告額は前年比2.47倍の67億9400万ドルで過去最高だった。対外経済政策研究院は「米中の技術競争と世界的なサプライチェーン再編の中で、韓国は生産拠点と流通物流ハブなど戦略的投資の対象として重要性が高まっている」と分析した。最近中国の決済サービスであるアリペイ(支付宝)のシンガポール持ち株会社がカカオペイの株式19.28%を、アリペイを運営する螞蟻集団(アントグループ)がトスペイメンツの株式37.71%を保有するなど、デジタル金融分野でも対韓投資を増やしている。テンセントもSMエンターテインメント、カカオゲームズ、クラフトン、ネットマーブルなどエンターテインメント・ゲーム企業に対する株式投資を増やした。
8月末時点で中国による韓国の上場株式保有額は20兆4900億ウォンで、昨年末(14兆570億ウォン)に比べ45.8%増えた。韓国の株式を367兆ウォン保有する米国の影響力には及ばないが、伸びは米国(35%増)よりも速い。外国人による韓国の不動産購入では中国が圧倒的1位だ。昨年の中国人による不動産買収登記件数は1万1363件で、全体(1万7504件)の65%に達した。8月末時点で韓国に不動産を保有する中国人は9万9804人で、10万人突破が目前だ。株式市場の価値上昇には中国からの資金流入が役立つが、不動産投資はソウル都市圏の住宅価格急騰につながるなど副作用が大きくなっている。
宣政敏(ソン・ジョンミン)記者
2025/10/06 07:00
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