米国のトランプ大統領による「解放プロジェクト(プロジェクト・フリーダム)」への参加要請に対し、韓国政府が5日に「検討」方針を示したのは、米国から重ねて迫られているため、ひとまず原則論的な立場を示したものと解釈される。政府は、ホルムズ海峡の奥のアラブ首長国連邦(UAE)付近の海域に停泊していた貨物船「HMMナム(NAMU)」号の爆発事故の原因を把握するとともに、周辺情勢を検討したうえで、十分な時間をかけて解放プロジェクトに参加するかどうかを決定すると予想される。イランを敵に回す、あるいは米国との関係が悪化する恐れのある敏感な事案であるため、政府の態度は慎重だ。
トランプ大統領は4日(現地時間)、解放プロジェクトについて「イランは韓国の貨物船を含む無関係な国々を攻撃した」として、「今や韓国がこの作戦に参加すべき時が来たようだ」と述べた。明確な根拠を示すことなくナム号爆発事故の原因をイランの攻撃だと規定し、韓国に参加を迫ったのだ。解放プロジェクトは、米国がホルムズ海峡に足止めされている船舶を導き、安全な通行を支援する海上安全保障・護衛作戦。米中央軍は、この作戦に1万5000人の兵力や100機以上の航空機などを投入するとしている。トランプ大統領は3月14日にも、韓国をはじめ中国、日本、英国、フランスなどに対し、ホルムズ海峡へ艦艇を派遣するよう公開で要求している。
これに対し大統領府は5日、「政府は、国際海上交通路の安全と航行の自由はすべての国の共同利益に合致し、国際法上保護されるべき原則であるとの立場のもと、グローバルな海上物流網の早急な安定、回復、正常化に向けて様々な国際的努力に積極的に参加してきている」とし、「このような文脈から、トランプ大統領の関連発言にも注目している。米国側からのホルムズ海峡に関する提案についても、この原則と朝鮮半島の準備態勢、国内法の手続きなどを勘案して検討中」だと語った。
米国の提案を検討すると述べつつも、北朝鮮に対する準備体制や海外派遣に対する国会の同意という国内法上の手続きを前提条件として掲げたのだ。これらの条件を考慮すると解放プロジェクトへの参加の是非の決定にはかなりの時間がかかるだろう、ということも示唆したと解釈できる。大統領府は、米国から提案があったからそれを検討するということであって、参加を前提としたものではないという雰囲気が強い。外交部のある関係者も「まだ初期段階であるため、米国も他国と協議しながら構想を具体化していくと思われる」とし、「米国も(解放プロジェクト)構想に対する意見を集約している段階で、私たちも各国の反応を見ている」と語った。
政府は、イランが米国の解放プロジェクトは停戦合意違反だとして強く反発していることなども考慮するとみられる。政府が安易に解放プロジェクトに参加すると、イランに韓国船舶を攻撃する口実を与える恐れがある。ホルムズ海峡の奥には現在、26隻の韓国船舶が閉じ込められている。イランは、海峡内の船舶が同意なく通過すれば、巡航ミサイルやドローンなどの物理力を用いて阻止する姿勢を示している。イランのイスラム革命防衛隊海軍は4日に、米国に対抗するためホルムズ海峡の統制範囲を大幅に拡大した。これまで政府は、フランスと英国の主導する「終戦後」を仮定したホルムズ海峡の自由航行に関する議論に参加してきたが、今回の解放プロジェクトは直ちにホルムズ海峡で船舶を護衛するため、危険性の面でまったく異なる作戦となる。
政府はひとまず、ナム号爆発事故の原因を正確に把握するとの姿勢を示している。爆発事故がイランの攻撃によるものかどうかを確認しなければ、解放プロジェクトへの参加などの今後の対応方針が決められないからだ。大統領府がこの日、カン・フンシク秘書室長を議長とする状況点検会議を行い、客観的な原因の究明に向けて中央海洋安全審判院に所属する調査官と消防庁の鑑識専門家を現地に急派することを決定したのも、「まず原因究明、その後に対応」という慎重な姿勢を反映したものだ。
ただし、調査でナム号がイランに意図的に攻撃されたことが確認されると、政府は難題を抱えることになる可能性が高い。当面する韓国の国民と船舶の安全な航行のために尽力してきた韓国とイランの関係を、どのように転換すべきか腐心することになる。米国に求められている解放プロジェクトへの参加にどの程度こたえるかを判断しなければならない。参加する場合は、ホルムズ海峡に閉じ込められている韓国船舶がイランの標的になる可能性も覚悟しなければならない。政府があらかじめ対応方針を定めるのではなく、徹底的かつ慎重な原因調査に重点を置いているのも、そのためだ。
梨花女子大学国際大学院のパク・インフィ院長は「原因調査そのものが容易ではないように思えるが、攻撃されたのが事実であれば、爆発時に米国が対応を取れた状況だったのかも検証すべきだ。似た状況にある国々の対応を見守る必要もあるだろう」と語った。
2026/05/05 21:01
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/56108.html