厳格になるVAR、窮屈になるサッカー

投稿者: | 2026年7月14日

導入から10年を迎えたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)技術は高度化が進み、判定の精度は人間の限界を超える水準に達した。VARはサッカーをより良いスポーツにしたのだろうか。2026年北中米ワールドカップ(W杯)ではVARをめぐる議論が過熱している。AP通信は13日(日本時間)、今大会でVARの介入によって試合の流れが一変した三つの場面を挙げた。

12日に米カンザスシティ・スタジアムで行われたスイス対アルゼンチンの準々決勝でも、VARが勝敗を左右する決定的な要因となった。スイスが1-1の同点ゴールを決めてから5分後、スイスのブリール・エンボロが退場処分を受けた。誤認警告に関する規定が適用されたためだ。発端はジョアン・ピニェイロ主審の誤審だった。アルゼンチンのレアンドロ・パレデスのタックルでエンボロが倒れると、主審はパレデスにイエローカードを提示した。しかし実際にはエンボロのシミュレーション(ダイビング)だった。

 国際サッカー連盟(FIFA)の規定では、主審の誤認によって誤った選手にカードが提示された場合、VARが介入できる。つまり、そもそもカードが提示されなければVARの対象にはならない場面だった。リプレー映像を確認した主審は、パレデスへのイエローカードを取り消し、代わりにエンボロに対してイエローカードを提示した。エンボロは累積警告で退場となり、数的不利となったスイスは延長戦の末、アルゼンチンに1-3で敗れた。

ドイツが決勝トーナメント1回戦で敗退する波乱の裏にも、VARの過度な介入があった。先月30日に米ボストン・スタジアムで行われたドイツ対パラグアイの決勝トーナメント1回戦で、ドイツのヨナタン・ターの決勝ゴールが取り消された場面だ。当初ゴールを認めていたジャラル・ジャイェド主審は、VARルームからの呼び出しを受けてモニターを確認した後、判定を覆した。ゴール直前にドイツのヴァルデマール・アントンがパラグアイのGKオルランド・ヒルを押したという理由だった。両者の接触は肉眼では判別が難しいほどわずかなものだった。

これに先立ち、大会開幕前にFIFA審判委員長のピエルルイジ・コッリーナ氏は、相手選手がまだボールに触れていない状況で、身体接触によりGKのプレーを妨害した場合は反則適用を厳格化するよう指針を出していた。ゴールを取り消されたドイツは結局、PK戦で敗れて敗退した。「サッカー本来の許容範囲内の競り合いにまでVARが過度に介入した」との批判が相次いだ。

3日にカナダ・トロント・スタジアムで行われたポルトガル対クロアチアの決勝トーナメント1回戦は、サッカーがテクノロジーに圧倒された試合だった。1-2でリードを許していたクロアチアは、後半アディショナルタイムにヨシュコ・グバルディオルがゴールを決め、2-2の同点に追いついた。しかし、このゴールはVARの結果、オフサイドで取り消された。グバルディオルのシュート直前、オフサイドポジションにいたクロアチアのイゴール・マタノビッチにボールが触れていたためだ。リプレー映像でも確認できないほどのわずかな接触を判定したのは、ボールに内蔵されたセンサーだった。

センサー(慣性計測装置)は1秒間に500回データを収集して微細な振動を検知し、人間の感覚では測定できない接触の瞬間を捉えた。クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督は「精密技術と判定が、サッカー本来の泥くさい楽しさを奪ってしまった」と苦い表情で語った。

2026/07/14 09:45
https://japanese.joins.com/JArticle/351946

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