妙に健康な韓国の労働者【寄稿】

投稿者: | 2026年7月25日

 生産年齢人口が70%を下回ったことで、国を運営するための税収や社会保険などの各種財源の枯渇を懸念する声が高まっている。労働力不足は人工知能(AI)の導入などによって労働市場の構造が変化し、自然と落ち着くとも考えられるが、減少した国家財政が生産年齢人口の減少分だけ増えた高齢者を支えるのに十分かどうかが、韓国を含む多くの国の関心事となっている。

 政府は高齢化問題の解決のために出生率を上げる政策を全力で多角的に展開しているが、その効果は微々たるものに思える。出生率や移民政策のように働く人の数を増やす政策は高齢化対策にもなるが、労働者が健康で生産的に好きなだけ長く働けるようにする労働市場政策も、高齢化に対応した政策だとみなしうる。アベノミクスと呼ばれる日本の働き方改革は、後者の最も代表的な例だ。

 その点、韓国はすでに有利な位置を占めているのではないかと思える指標がある。それは、労働者がケガや病気で出勤しない日の数、つまり病欠日数だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の病欠日数は全体的に非常に急激に増加しており、ノルウェーが最も長くて年平均28日にのぼり、加盟国平均は13日ほど。OECDの公式統計には韓国の現状は含まれていないが、2023年に発表されたある研究によると、年間で1.2日ほどだと考えられる。

 この統計を見ただけだと、韓国の労働者はケガや病気で会社を休む日が非常に少ない。長時間労働で有名な韓国の労働者は、ほとんど病気にもならない鉄の体力で、会社を休むことなく誠実に働いているわけだ。諸外国の政府は病欠問題で早くから頭を痛めており、テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクはドイツ工場の病欠率が15%を超えるという記事をXで共有し、対策に腐心している。彼らは韓国をベンチマークすべき状況にある。

 しかし私たちは、韓国の労働者が特別に健康だったり体調が悪くなることがなかったりするから欠勤しないわけではないことをよく知っている。体調の悪い労働者は、雇用の維持と所得の維持という2つの面で危機に直面する。現在、一部の企業は団体交渉などを通じて一定期間の有給病欠を与えており、期間が長くなる場合は年次有給休暇を利用できる。それすらも使い果たすほど長引けば病気休職させる。病気休職中でも、賃金の一部が一定期間は保障される。しかしほとんどの事業所では、有給はもちろん無給の病気休暇もないため、年次有給休暇を利用して病気を治療することが多い。5人未満の事業所では年次有給休暇すらないケースがあるため、事業主が了承してくれる場合に限って欠勤することになる。

 労働パネルの資料によると、有給であれ無給であれ、病欠が認められる労働者は全体の38%ほどにすぎない。このような状況では、体調の悪い労働者は雇用の維持においても不利なうえ、所得減少という危機に直面することになる。毎月家賃を支払わなければならず、保険料も支払わなければならない労働者にとって、こうした収入の減少は生活維持の観点からみて直接的かつ切迫した危機となる。だから労働者は病気になっても出勤して働き、それは治療の遅れを招き、事業所の立場からすると生産性低下の原因にもなる。

 したがって、現在政府がモデル事業を実施している傷病手当制度は、病気の労働者の所得を一定程度保障するための制度であると同時に、人口の高齢化に備えて、労働者が治療を遅らせることなく健康な状態で長く働けるようにする制度の性格も持っている。実際、長年にわたりこの制度を実施してきた多くの国は、傷病手当制度を積極的な労働市場政策の一環と位置付け、早期治療と早期復帰を可能にすると同時に、長期欠勤者を減らすために職場復帰およびケースマネジメント政策に力を入れている。

 韓国の労働者が鉄の腕や鉄の脚、鋼の精神力を持つ特別な労働者でないことは明らかだ。さらに、韓国の労働者も年を重ねていっている。今こそ、体調の悪い労働者が早期に治療を受け、早期に労働市場に復帰できるようにしなければならない。公的な傷病手当制度があっても、雇用維持におけるリスクが消えるわけではない。出生率を上げるための取り組みと同じくらい、多くの労働者が健康に働ける制度を設計するために知恵を持ち寄るべき理由はそこにある。

2026/07/23 18:25
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/56788.html

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