「空売りの経験を韓国企業への投資にそのまま適用します」。
ウォール街で「暗殺者」というニックネームを持つサフケット・センティネル創業者で空売り投資家のファーミ・カディール氏の抱負だ。ウォール・ストリート・ジャーナルが最近「株価下落を予想し株式を空売りするショート戦略で名をはせた彼女が、初めて上昇銘柄を買うロング戦略を広げる舞台を韓国に決めた」と報道した後に行われた中央日報との書面インタビューでだ。
カディール氏は企業の不正腐敗と会計不などの弱点を暴き執拗に攻撃する投資家だ。世界的製薬会社バリアント、独フィンテック企業ワイヤーカードを空売りして大きな利益を得た。このエピソードはネットフリックスのドキュメンタリー『汚れた真実』でも紹介された。彼女は下半期にソウル事務所を設立し韓国に進出する。以下は一問一答。
――なぜ韓国なのですか。
「いわゆる『コリアディスカウント』のためです。韓国証券市場で大型上場企業の90%以上は40%以上の株を持つ大株主やオーナー一家が支配しています。相続税率は割り増し時で最大60%に達します。核心子会社を分けて上場する物的分割も普通です。米国では例のない慣行です」
――コリアディスカウントはきのうきょうの話ではないですが。なぜいまですか。
「韓国総合株価指数(KOSPI)は上半期に歴代級の上昇を記録しました。しかし上場企業の68%が依然として帳簿価値(PBR 1倍)未満で取引されています。この割合はS&P500で2%未満、台湾・日本の証券市場で20%水準であるのと比べ顕著に高いです。上昇相場に参加できない企業でしょう。こうした状況で政府が商法を変え海外では例のない速度でコリアディスカウント解消に乗り出しました。投資する理由は十分です」
――最初の投資対象は何ですか。
「韓国市場を短期売買対象とはみていません。PBR1倍未満の企業のうち持続して現金を創出し、純現金と実物資産が豊富で、自社株を多く保有する企業を探しています。相続税制度の変化で継承環境が変わる企業も注視しています」
――韓国では中小型株投資にリスクがあるという認識が強いのですが。
「リスクはあるがだからこそチャンスもあります。韓国人が好む半導体大型株を見れば半導体景気、地政学的要因、世界的な資金の流れのようなマクロ変数が株価を左右します。いくら努力してもこうした変数の前では投資優位を持ちにくいです。しかし中小型株のリスクは違います。支配株主、監査委員会、特殊関係人取引、顧客集中度のような企業固有の問題が変数でしょう。こうした変数は徹底した調査と分析でいくらでも克服できます」
――韓国証券市場の代表であるサムスン電子とSKハイニックスの投資に対する悲観論に聞こえます。
「両社を尊敬しています。しかし両社は韓国で最も多く分析され、最も多くの投資家が保有し、最も効率的に価格が形成された銘柄です。言い換えれば韓国証券市場でコリアディスカウントを最も少なく反映した銘柄です。(現在の株価は)高評価でもないが、決して低評価されたとも考えません」。
カディール氏は両社がマイクロンやTSMCなど世界的半導体企業より大きな調整を最近体験した理由として、▽外国人・機関投資家から個人投資家に需給主体が変化▽SKハイニックスのナスダック米国預託証券(ADR)上場(差益確定)▽景気循環産業という事実を忘却したことなどを挙げた。
――テスラなど革新企業に投資して有名なアークインベストメントマネジメントのキャシー・ウッド最高経営責任者(CEO)とあなたを比較したりします。
「ウッドとは投資スタイルが明確に違います。ウッドは技術の未来を想像して投資しますが、私は企業の過去と現在を分析します。私は企業がどんな嘘をつくのか研究しながら生きてきました。韓国ですべての投資対象に過去の会計不正を分析したような水準のデータ解析をします。企業と公開的に争うより非公開協議を通じて企業価値を高めることが投資目標です」
――韓国証券市場をどのように予想しますか。
「韓国には半導体サイクルが左右する市場とPBR1倍未満企業の市場の2つの市場が存在します。李在明(イ・ジェミョン)政権が推進する証券市場の企業価値向上政策の目的も一部大型株でなく市場企業全般の指数がともに上がるということでしょう。証券市場が企業価値向上に成功するならば後者の再評価がもっと大きく、長く続くでしょう」。
2026/08/11 11:29
https://japanese.joins.com/JArticle/353358