「兵役ブローカー」野球の金メダル【コラム】

投稿者: | 2026年9月29日

 27日の夜、愛知・豊橋市民球場で行われたアジア大会野球決勝。日本の社会人野球チームを3対1で辛うじて破った韓国野球代表の選手たちが太極旗を広げた。金メダルで兵役特例を受けることになった16人は、漢字の「金」を形にしたセレモニーで勝利を祝った。拙戦にもかかわらず、選手たちの顔には笑みがあふれていた。

 その場面を見ながら、金メダルより先に「軍隊」が頭に浮かんだ。今回の代表24人のうち16人が、金メダルにより兵役特例を受ける。郭彬(クァク・ビン)、朴英賢(パク・ヨンヒョン)、文保景(ムン・ボギョン)、盧施煥(ノ・シファン)、金周元(キム・ジュウォン)、金智讚(キム・ジチャン)、尹棟熙(ユン・ドンヒ)ら7人は、杭州アジア大会の金メダルで既に恩恵を受けた。代表チームとは無関係に兵役義務を終えた選手は趙丙炫(チョ・ビョンヒョン)だけで、国軍体育部隊(尚武)出身だ。

 アジア大会代表は、韓国のプロ野球選手が兵役問題を解決する「ブローカー」になった。この制度のルーツは、国家がエリートスポーツを集中的に育成していた1973年にまでさかのぼる。「国威発揚」に対する国家の報償という性格が強かった。

 しかし、プロがアマチュアを破って優勝することのどこが国威発揚なのか、という思いしか湧かなかった。代表は25日の秋夕(チュソク=中秋節)韓日戦で0対5の大敗を喫し、雨の降る決勝でも湿ったバットを振り回していた。金倒永(キム・ドヨン)の決勝打を日本の社会人野球の三塁手がきちんと捕っていれば、結果は違っていたかもしれない。

 プロ選手にとって1年6カ月の兵役は、年俸・フリーエージェント(FA)・海外進出など人生の進路に大きな空白を生む。金メダリストに兵役上の恩恵を与えれば、それが動機付けになるのは当然だ。

 問題は国家代表の選び方だ。原則は単純でなければならない。最も優れた選手を選び、最も強いチームをつくることだ。ところが韓国は、KBOリーグを中断しないという理由で、球団ごとの招集人数を配分した。順位争いを考慮し、特定球団から主力選手をあまり多く引き抜かないという論理だった。柳志炫(リュ・ジヒョン)監督も最終エントリーを発表する際、チーム間のバランスを考慮したと説明した。

 しかし、昨年の新人王・安賢民(アン・ヒョンミン)、今年20本塁打を放った捕手ホ・インソは外れた。安賢民はけが、ホ・インソについては球団間のバランスを考慮したとの説明が続いた。苦しい言い訳だ。安賢民は現役兵として、ホ・インソは尚武で、既に兵役を終えていることを誰もが知っている。

 当然、次の疑問が出る。40本塁打を放った金倒永を連れて行くことは、KIAの戦力にとって損失ではなかったのか。大会直前に鼻骨を負傷したが、戦力として問題はなかったのか。しかし、問わずとも「兵役」という言葉ですべて説明できる。今回の韓国代表野球チームに「金倒永兵役免除特攻隊」というあだ名が付いた理由だ。

 野球代表主将の盧施煥は「とにかく金メダルを取った」と語った。その言葉は「16人が軍隊を避けた」と聞こえた。金メダルさえ取れば万事許されるというのなら、4年後にもこのような見苦しい光景を見なければならない。代表メンバーが発表されれば、ファンはまず兵役を終えた選手を数えるだろう。格下の台湾と社会人野球の日本を破って歓喜する表情を見ながら、また顔が熱くなるに違いない。

2026/09/29 13:15
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/09/29/2026092980091.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)