「アメリカの野郎ども」…韓国の保守野党は朴正煕大統領の一喝が聞こえるか

投稿者: | 2026年10月19日

 韓国は1945年に日本帝国の支配から解放されましたが、その後、朝鮮総督府から行政権などを引き継いだ「在朝鮮米国陸軍司令部軍政庁」(米軍政)によって統治されることになりました。当時、軍政庁長を務めたのは米国陸軍第24軍団長のジョン・ハッジ中将でした。軍政庁長はいわば朝鮮総督のような存在でした。

 米軍政は、韓国の人々が自主的に結成した建国準備委員会(建準)と人民委員会を解散し、直接統治に乗り出しました。ところが、あまりにも無能だったため、さまざまな問題を引き起こしました。米軍政は1948年8月15日に韓国政府の樹立とともに終焉を迎えました。

 在韓米軍司令部は1957年に設立されました。ジョージ・デッカー大将が初代司令官でした。在韓米軍司令官は当初、国連軍司令官と米第8軍司令官を兼任していましたが、現在は国連軍司令官と韓米連合司令官を兼任しています。

 在韓米軍司令官の権限は絶大です。司令官の一言が朝鮮半島の情勢や韓米同盟に大きな影響を与える可能性があります。歴代の司令官たちが言動に慎重を期したのも、まさにそのためでした。

■ポストを守るため、戦時作戦統制権の返還条件を引き上げているのか

 第27代在韓米軍司令官のブランソン氏は、2024年12月に着任しました。ですが、歴代司令官たちとは全く異なる言動をしています。最近、米国で次のように述べました。

 「(戦時作戦統制権の移管に向けた)条件は確実に変わった。条件が変わり、我々が計画を変更したため、我々が守らなければならない新たな基準が生まれた」

 戦時作戦統制権(戦作権)の移管をトランプ大統領の任期以降に先送りすべきだと主張したのです。ブランソン司令官は戦作権の移管に賛成していると述べましたが、その本音は全く違うようです。在韓米軍司令官は四つ星の将軍(大将)です。韓国に戦作権を移管すると、米陸軍における四つ星の将軍のポストが一つ減ります。米国の高官たちのポストを守るために、戦作権の移管条件と基準を引き上げ続けているようです。だからこそ、チョン・ビットナ国防省報道官が「ゴールポストを動かし続けるなら、戦作権の移管は永遠にできない」と述べたのではないでしょうか。

 ブランソン司令官は次のような発言もしました。

 「(韓米合同演習を)朝鮮半島全域を活用する分散・機動型演習に変えるべきだ」

 「韓国の防衛産業と造船能力を、地域への持続的支援の拠点とすべきだ」

 「多領域特任団(マルチドメインタスクフォース:MDTF)の朝鮮半島への配備は、極めて魅力的だ」

 「朝鮮半島の作戦環境だけでなく、より広い周辺環境まで理解しようとしている。地図に一線を引いてみれば、北京からソウルまでの距離を確認できる」

 中国牽制を目的とし、MDTFの朝鮮半島配備を既成事実とする発言です。MDTFとは、情報・監視・偵察、宇宙・サイバー・電子戦、長距離精密打撃を組み合わせた米陸軍部隊のことです。ブランソン司令官は、在韓米軍と韓国軍の役割を中国牽制へと拡大を図っているものとみられます。

 ブランソン司令官は5月にも「韓国は中国の立場からすれば短剣(dagger)」だと発言し、外交的な波紋を呼びました。中国政府は敵対的かつ攻撃的な表現だとして強く反発しましたが、ブランソン司令官は次のように釈明しました。

 「我々が置かれている作戦環境を説明しようとしたものだ。かつて韓国を日本を標的とした短剣に例えた時代の表現を引用しただけだ。当時の発言の全体的な文脈は、地域における変化する視点に関するものだった。我々は強くなければならず、大韓民国内の軍事能力も備えなければならないが、同時に、そのような(他国の)視点が依然として存在するという点も理解しなければならない」

 何を言っているか、お分かりでしょうか。私にはよくわかりません。ブランソン司令官は次のような発言もしました。

 「大韓民国はどこから始まり、どこで終わるのか。国連軍司令部の観点から見れば、私の考えでは大韓民国は南側の鉄条網から始まる。我々は主権とは何か、実際に何を意味するのかについて、議論を続けている」

 これは、非武装地帯に対する大韓民国の領土主権を否定する発言です。ブランソン司令官のこのような考えのせいで、韓国軍が北朝鮮軍による地雷埋設を停戦戦協定違反だと指摘しても、国連軍司令部は停戦協定違反ではないと主張したようです。国連軍司令部は地雷爆発事件が起きてから初めて、ようやく停戦協定違反だとして、従来の立場を覆しました。情けなく、無責任極まりないことです。

■米国の国益のために「軍事的カード」をテコに

 大韓民国の主権は大韓民国国民に、軍の統帥権は大韓民国の大統領にあります。にもかかわらず、ブランソン司令官はまるで自分が軍政庁長やわが国を統治する総督であるかのように振る舞っています。傲慢極まりありません。ブランソン司令官がこのように横暴を働く理由は何でしょうか。二つの解釈があります。

 第一に、個人的な逸脱です。韓米連合司令部副司令官出身のキム・ビョンジュ民主党議員は16日、「文化放送」(MBC)ラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」に出演し、次のように述べました。

 「歴代の司令官たちも、このように戦作権の条件強化を要求し続けてきました。ですが、歴代の司令官たちは、口が堅かったじゃないですか。そういったことを表に出すことはなかったのです。ところが、ブランソン司令官はこうしたことを平然と語り、朝鮮半島を軍事的な側面だけで論じて、韓国国民を憤慨させることが多いと思いませんか」

 第二に、米国の国益です。同盟をコストとして換算するトランプ大統領や米軍部の利益を代弁しているという解釈です。アラスカへの投資や対中国牽制など、米国の国益を貫徹するために、軍事的なカードをてことして使っているという見方です。

 私はいずれの解釈も一理ありますが、米国の国益の方がより妥当だと思います。ならば、ブランソン司令官が今後口をつぐむ可能性はほとんどないでしょう。ブランソン司令官を批判しても無駄だということです。

■「国民の力」は韓国の政党なのか、米国の政党なのか

 問題はブランソン司令官に対する韓国の政治家やメディアの反応です。ブランソン司令官の発言について、保守野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は次のように主張しました。

 「北朝鮮は核とミサイル能力を高度化し、国境線の要塞化を強行している。このような安全保障環境の急変に応じて、戦作権の移管に向けた評価基準も変更されなければならない」

 「わが国の国防力と連合戦闘力を弱体化させる戦作権の移管を喜ぶのは、金正恩(キム・ジョンウン)だけだ。『条件』を満たさない戦時作戦権移管は百害あって一利なしだ」

 また、同党のパク・チュングォン首席報道担当は次のように論評しました。

 「戦作権の移管は、政権の業績を積み上げるためのイベントではなく、国家の存亡をかけた安全保障上の一大事だ。安全保障上の条件も整っていないのに、政治的なスケジュールだけを優先する拙速な移管は、敵のみに利益をもたらす自傷行為だ。李在明(イ・ジェミョン)政権は、無謀なスピード戦を直ちに中止し、韓米同盟の信頼回復と国防・安全保障体制の再整備から着手すべきだ」

 国民の力はなぜこのようなことをするのでしょうか。一体韓国の政党なのでしょうか、それとも米国の政党なのでしょうか。親米事大主義が内面化され、もはや国籍を混同するほどにまで至っているようです。

 国民の力の指導部のこのような態度は、歴代大統領の対外政策とも大きく異なります。国民の力の党本部内には李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・チョンヒ)、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の写真が並んでいます。

■米国寄りではなかった李承晩大統領、朴正煕大統領は「アメリカの野郎ども」

 李承晩大統領は休戦当時、アイゼンハワー大統領に対し韓米相互防衛条約を要求し、これを貫徹させました。李大統領は親米主義者ではありませんでした。米国に圧力をかけるため、反共の捕虜を釈放しました。米国は李承晩大統領を殺害する秘密計画まで立てましたが、実行には至りませんでした。

 朴正煕大統領は在任期間中ずっと米国との関係が悪く、米国の在韓米軍削減および撤退の動きに対抗して自主国防を推進し、任期末には米国に内緒で核兵器を開発しようとしていました。朴大統領は私的な場で「アメリカの野郎ども」という言葉をよく口にしていたそうです。

 金泳三大統領は、朝鮮半島の主導権を奪われないために米国に立ち向かいました。米国では「北朝鮮の指導者よりも韓国の指導者の方が扱いにくい」と言われるほどでした。1993年11月、ホワイトハウスでクリントン大統領と、北朝鮮の核問題を主要議題として首脳会談を行いました。

 「これまで北朝鮮問題における韓米関係は、米国の一方的な主導に韓国が引きずられる形で進められてきましたが、この日の会談を機に、南北問題の当事者として韓国の主導権を明確に確保した。私はこの日の会談で、北朝鮮政策に関しては韓国と十分な事前調整を経るべきであるという点、チームスピリット演習の中断の可否は韓国が決めるという点、南北特使の交換を通じた南北相互の核査察が不可欠であるという点などを強く主張して貫徹させ、このような韓国主導の原則を私は任期中ずっと維持し続けた」 (金泳三大統領回顧録より)

 いかがでしょうか。国民の力の対米屈従的な姿勢を見たら、李承晩・朴正煕・金泳三大統領が地下で涙を流すかもしれません。

 国内メディアの態度は曖昧です。保守系新聞はこれまで、戦作権の移管について反対論や慎重論を展開してきました。ところが、ブローンソン司令官発言を積極的に擁護することまでには至っていません。

 「東亜日報」は10月17日付紙の1面トップで、「高まる韓米同盟の亀裂音…注目されるブローンソン氏の『荒い発言』」という見出しの批判的な記事を掲載しました。続く3面の記事の見出しは「最も歯に衣着せぬ在韓米軍司令官…『軍事的信念』対『トランプ氏のメッセンジャー』」でした。

 まとめます。歴代の大統領は皆、国益中心の実用外交を行ってきました。李在明大統領も同様です。国民の力や保守系新聞は目を覚ますべきです。李在明大統領をどれほど嫌おうとも、大韓民国の国益と米国の国益が衝突する敏感な時期に、米国に味方してはなりません。それは一線を越える行為です。そのような姿勢では、「国民の力」と保守派の未来は暗澹たるものになるでしょう。皆さんはどうお考えでしょうか。

2026/10/18 18:43
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/57437.html

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