韓国と日本の「歴史的特殊性」は過去の韓日首脳の初の顔合わせにも常に影響を及ぼしてきた。両国指導者の歴史観と所属政党、支持基盤により韓日関係は変化を経て、初めての会談は今後の韓日関係の姿を予想する照尺の役割をしてきたためだ。元韓国外交部高位当局者は「韓日首脳の最初の会合は儀典だけでなく目つきと握手、野党の反発など気を遣うことがどの首脳会談より多い」と話す。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は10日に東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を契機に日本の石破茂首相とあいさつを交わした。石破首相が就任して9日ぶりだ。両首脳は日程が厳しい多国間会議を契機に会ったが40分にわたり虚心坦壊な対話をしながら韓日関係の重要性に共感した。尹大統領は「前任の岸田首相に続き石破首相ともシャトル外交を含め韓日関係発展をともに図っていきたい」と提案し、石破首相は「尹大統領と岸田前首相が大きく改善させた両国関係を継承し発展させたい」とこたえた。
こうした風景は岸田前首相との初の会談とは明確に異なった。尹大統領は2022年9月のニューヨーク国連総会出席の際に当時の岸田首相と初めての首脳会談をした。文在寅(ムン・ジェイン)政権で慰安婦合意と強制徴用問題により韓日関係が大きく悪化したことから、日本側は会談に消極的だった。当時尹大統領は岸田首相が参加する行事が開かれたビルに直接訪ねて行き30分間の略式会談ができた。
当時参謀らは「われわれが先に訪ねて行く形は良くない。野党が反発するだろう」としながら引き止めたが、尹大統領が「格式よりも会うこと自体が重要だ」として実現した会談だった。野党では「屈辱外交」という批判が出てきたが、最初の会談後に信頼を積んだ両首脳は急速に近づいた。両首脳は先月の岸田首相退任までに12回会って韓日シャトル外交を復元させるなど、過去の韓日首脳のうち指折り数えられるほどの親密さを誇示した。
日本の歴代最長寿首相だった安倍晋三元首相は朴槿恵(パク・クネ)元大統領・文在寅前大統領が就任後に初めて会った日本の首相だった。安倍元首相は2人の大統領との初の顔合わせでいずれも不慣れな韓国語であいさつをした。朴元大統領には2014年3月にオランダで開かれた韓米日首脳会議で「マンナソパンガプスムニダ(会えてうれしいです)」と話し、文在寅前大統領とは2017年7月にドイツで開かれた主要20カ国(G20)首脳会議で会い「アンニョンハシムニカ(こんにちは)」とあいさつした。
朴元大統領は安倍元首相が太平洋戦争の戦犯が合祀された靖国神社を参拝したことから、冷ややかな表情で不満を示した。当時のオバマ米大統領の勧誘で安倍首相と握手はしたが、韓米日3首脳が手を握った写真を演出してほしいというメディアの要求には応じなかった。
文前大統領と安倍元首相は北朝鮮と強制徴用問題などをめぐり激しく対立した。2022年7月の死去後、昨年2月にまとめられた『安倍晋三回顧録』で安倍氏は「文在寅前大統領は確信犯だ。反日を政権浮揚の材料に使いたかったのだろう」と文前大統領に対する不快感を示した。文前大統領も5月発刊した回顧録で「安倍首相は不動の姿勢だった。会う瞬間には良い顔でやわらかい話をするが背を向ければ全く進展がなかった」と批判した。
2024/10/13 12:19
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