医大や医学部に進学するために、通っていた大学を退学する学生や複数年にわたって浪人生活を送る受験生が増える中、韓国最高の名門ソウル大学でも1年生の自主退学者が急増していることが分かった。
特に、理工系学部である工学部・農業生命科学部・自然科学部の順に自主退学者が多く、優秀な人材が理工系を離れることについて、政府レベルでの対策が急務だとの指摘が出ている。
国会教育委員会のメンバーで韓国最大野党・共に民主党所属のペク・スンア(白承ア)議員が10月27日、ソウル大学から入手した「最近3年間のソウル大新入生の退学現況」を見ると、ソウル大では2021年から今年1学期までの間に計611人の新入生が自主退学した。
21年度はソウル大新入生3358人のうち161人(4.7%)が自主退学したが、22年には同3343人のうち204人(5.9%)、昨年は同3610人のうち235人(6.5%)と退学者が増え続けている。21年と23年を比較すると、わずか2年で46%(74人)増加している。
自主退学は、自分の大学入試の結果をある程度推測できる2学期に集中する傾向がある。今年は1学期にすでにソウル大の新入生11人が退学した。1学期の退学者数は21年には6人、22年には7人、昨年は1人だったが、今年は初めて2桁に達したのだ。今年2月に政府が「医学部定員増加」を発表したことが、1学期の退学者数増加に大きな影響を与えたという分析が出ている。
ユーウェイ教育評価研究所のイ・マンギ所長は「韓国の最高学府であるソウル大に入ったとたんに退学するというのは、それよりも高い成績が必要な医学部・歯学部・韓医(韓国漢方医)学部・薬学部などのいわゆる「メディカル学部」への入学を目指しているということだとみられる」と述べた。
特に多かったのが理工系学部の退学者だ。21年から今年1学期までのソウル大新入生の自主退学者611人のうち、最も多かったのは工学部の退学者で187人(30.6%)だった。次いで農学部が127人(20.8%)、自然科学部が76人(12.4%)、師範(教育)学部が62人(10.1%)、人文学部が33人(5.4%)、社会科学部が29人(4.7%)の順だった。
理工系上位圏の学生たちによる「医大・医学部傾倒」現象で、最高学府であるソウル大の理工系学部も医大・医学部入試の中間段階に転落してしまったのではないかとの指摘が教育界から出ている。
工学部の退学者数は21年の61人から23年には71人へと16.4%増加した。同じ期間に農学部は21年の35人から昨年には41人へと17.1%増加した。
人文学部と社会科学部の退学者も21年は合わせて7人(それぞれ5人・2人)だったが、22年には19人(10人・9人)、昨年には34人(17人・17人)と約4倍も増加した。22年度から文理統合型の修学能力試験(修能。日本の大学入学共通テストに相当)が実施されたため、理系志望の学生がひとまず文系学部に進学しながら「仮面浪人」を経て再受験し、本来の希望だった理系に流れていったのではないかと教育界の専門家は推測している。
キム・ギョンウン記者
2024/11/03 05:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/10/29/2024102980141.html