10日で任期折返し点を迎えた韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は特別な政治的メッセージは出さずに米国のドナルド・トランプ次期大統領がもたらすと考えられる変化に集中した。
尹大統領はこの日午後、竜山(ヨンサン)大統領室庁舎で主宰した「対外条件の変化に伴う経済・安保点検会議」の冒頭発言で「2カ月後になれば米国ワシントンの新政府がスタートし、世界経済と安保に非常に多くの変化が生じる」とし「経済副首相をコントロールタワーとする金融・通商・産業の3大分野の会議体制を直ちに稼動して市場を点検して隙なく備えるように」と指示した。
尹大統領は安保事案に関連して「相当多くの構造的変化が起きることが考えられる。安保というものは注意すべきことが多いものなので、一度にガラッと変えることができるものなのか、しっかりと対処してほしい」とし「堅固な韓米同盟に基づき、確実な北朝鮮抑止力を維持し、アジア太平洋地域で正しい平和と繁栄のリーダーシップが持てるように綿密に準備してほしい」と述べた。尹大統領は「トランプ次期大統領とできるだけ早期に会って親交を深めて対話する時間を持つことにした」と付け加えた。
この日約110余分間続いた会議に、大統領室からは3室長〔鄭鎭碩(チョン・ジンソク)秘書室長・申源湜(シン・ウォンシク)安保室長・成太胤(ソン・テユン)政策室長〕と張虎鎭(チャン・ホジン)外交安保特別補佐官、内閣からは崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官と外交・統一・国防・産業通商資源部長官らが出席した。事実上、トランプ氏の分野別大統領選挙公約が韓国経済・安保に及ぼす影響を確認して分析する「トランプ準備会議」も同然だった。
尹大統領はトランプ氏が予告したスーパー関税など通商分野の変化に対して「最も大きな変化が予想される。政府支援が産業と企業競争力に大きな影響を与えるだけに、公務員は机に座って頭の中だけで考えて対応せずに、業界と緊密に疎通して頻繁に話を交わしてほしい」と要請した。また「大統領室と内閣は心機一転して常に企業の事情を聞き、国益に最も役立つ方向で最善の政策を準備しなければならない」と述べた。
◇大統領「安全保障に構造的変化生じる」…110分の「トランプ会議」
尹大統領は会議中、参謀に対して「トランプ氏の当選は危機の要因と機会の要因が混在している」としながら数回にわたり戦略的思考を注文した。冒頭発言で、米国新政府が化石燃料に対して柔軟な政策を取るという場合、やや低迷した韓国の石油化学分野も従来と同じ地位を回復できるのではないかと思う」と述べたことなどが代表的だ。
成太胤政策室長も会議後のブリーフィングで「米国新行政府の政策方向により、不確実性と挑戦課題があるのは事実だが、対応如何により機会要因も多い」とし「7日にトランプ氏が尹大統領との通話で韓国造船業との協力の必要性に言及したことは注目すべき点」と話した。成室長は「米国は軍艦建造力量強化を含めて造船業生産性の改善に高い関心を持っているが、韓国は世界最高水準の力量があり相互ウィンウィン分野が多いだろう」と話した。
安保分野では尹大統領が言及した「構造的変化」に対する対策が主に話し合われた。これに先立ち、トランプ氏は尹大統領との通話で北朝鮮の挑発に対する説明を聞いて「本当に信じられない」という反応を示した。ウクライナ戦争に関しても米国の介入に否定的見解を明らかにした。
国家安全保障室の金泰孝(キム・テヒョ)第1次長は会議後のブリーフィングで、「韓米防衛費分担金、ウクライナ戦争、ロ朝軍事協力、グローバル次元で既に韓米間に重点を巡る懸案のうち、どのような選択と集中を行うか探ってみたい」としながらも「米国官民と議会は共和党と民主党を問わず韓米同盟の重要性を共感していて、韓国が安保の責任分担と寄与においては模範事例という点をよく知っている」と強調した。これは大統領選挙期間中に韓国を「マネーマシン(キャッシュディスペンサー)」と言って在韓米軍防衛費分担金増額を予告したトランプ氏を意識した発言と解釈された。
金次長はあわせて「米国新行政部と北朝鮮非核化目標をブレることなく推進し、核基盤の韓米同盟を強固に発展させていく」としながら「韓米日協力を制度的に定着させて3国共助もまた深化させていきいたい」と話した。
尹大統領は「ゴルフ狂」としても有名なトランプ氏を考慮して8年ぶりにゴルフの練習も再開した。トランプ第1期在任時期、日本の安倍晋三首相がゴルフを活用してトランプ氏と深い縁を結んだという周辺の助言があったという。大統領室高位関係者は「尹大統領は今年の夏休みの時もゴルフをした」と話した。尹大統領はこの日任期折返し点に対して特別な言及はしなかったが、会議に真っ赤なネクタイを締めて出席して目を引いた。大統領室関係者は「心機一転するという気持ちで尹大統領が与党色のネクタイを選んだ」と話した。
2024/11/11 07:02
https://japanese.joins.com/JArticle/326017