内乱首謀者の疑いが持たれている大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)に対する国会の弾劾訴追案が可決されたが、内乱事態を機に一段階値下がりしたウォン相場は下落を続けている。株価が非常戒厳事態以前の水準を取り戻したこととは異なる流れだ。関税引き上げを公約に掲げた米国の第2次トランプ政権の発足が約1カ月後に迫っているが、韓国ではリーダーシップの空白で対応に限界があるという懸念がその原因に挙げられる。
16日のソウル外国為替市場で、ウォン相場は1ドル当たり1435.0ウォン(約153.6円)の昼間取引終値(午後3時30分)を記録した。先週末(13日)の昼間取引終値より2ウォン(約0.21円)値下がりしており、非常戒厳宣言直前の3日の昼間取引終値(1402.9ウォン)に比べ32.1ウォン(2.3%)下落した。同日午前11時頃には1438.3ウォン(約154円)まで値下がりした。ウォン相場の下落はウォン安を意味する。
14日(土曜日)に国会で弾劾訴追案が可決されてから初めて金融市場が開かれたこの日、KOSPI(韓国総合株価指数)は0.22%下落し、コスダック指数は0.69%上昇した。大幅な変動はなかったわけだ。9日、1次弾劾訴追案が否決された後、大幅に下がった株価は2回目の弾劾訴追案が可決されるという見通しが広がったことで、先週後半に持ち直し、内乱事態以前の水準をほとんど回復した。実際、同日のKOSPIの終値は2488.97で、3日の終値(2500.1)とほぼ同じ水準だった。コスダック指数は698.53で、3日の終値(690.8)より1.1%(7.73)高い。
これとは異なり、ウォン安の勢いは衰えない様子だ。内乱事態以後、主要国通貨の価値変動幅を見てみると、ウォン相場の値下がり幅がさらに目を引く。この期間中、欧州中央銀行(ECB)の基準金利引き下げなどの影響でユーロ、円、ポンドなど6つの主要通貨に比べてドルの相対価値を示すドル指数が0.7%ほど上がったが、ウォンの価値は2.3%下がった。ウォンが他の通貨に比べてさらに劣勢を示したという意味だ。
17~18日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を追加引き下げすることが確実視されていることは、ドルに対するウォン相場の値上がりを抑制する要因に挙げられる。しかし、国会の弾劾訴追案議決だけでは解消できない政治的不確実性が外国為替市場に暗い影を落としている。産業銀行金融工学室は同日に発表した報告書で、「国内政治的不確実性は多少解消されたが、政治的対立が依然として残っている中、リーダーシップの空白や政策動力の緩和などにより、ウォン安は大幅には改善されないだろう」とし、「今週米国(17~18日)、日本(18~19日)、英国(19日)の通貨政策会議という大きなイベントが予定されており、為替変動性が一時的に拡大する危険がある」と見通した。
ウリ銀行のパク・ヒョンジュン投資戦略チーム長は「弾劾訴追案の可決で心理的安定は少し取り戻したが、政治的不確実性が依然として残っている」とし、「来年1月20日のドナルド・トランプ米国大統領就任を前後して、韓国の対応能力の不在に対する懸念が最高潮に達する可能性がある」と話した。
2024/12/16 19:54
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