今年の韓国の国内総生産(GDP)に対する国の負債比率割合が初めて先進非基軸通貨国平均を上回るとの見通しが出てきた。
国際通貨基金(IMF)が11日にまとめた「財政点検報告書」4月号によると、今年韓国のGDP比の一般政府債務(D2)の割合は54.5%と予想される。IMFが先進国に分類した非基軸通貨国11カ国の平均値54.3%を初めて超える。
2016年の韓国のGDP比の一般政府債務比率は39.1%で先進非基軸通貨国平均の47.4%より8ポイント以上低かった。しかしその後は少子高齢化の進行で福祉支出が増え、コロナ禍まで重なり政府費用が大きくなった。ここに低成長が固定化し比率が急速に上昇する傾向だ。一般政府債務は韓国で主に活用される中央政府と地方政府の債務(D1)に非営利公共機関の債務まで加えた概念だ。IMFと経済協力開発機構(OECD)などが国同士の財政健全性を比較する際に使う。
IMFは2030年に韓国の数値が59.2%まで上がり、先進非基軸通貨国平均値の53.9%を5ポイント以上上回るとみた。2030年までの韓国の上昇幅4.7ポイントは先進非基軸通貨国の中でチェコの6.1ポイントに次いで2番目に大きい。これに対し同じ期間に多くの先進非基軸通貨国は一般政府債務比率を減らすと予測された。ニュージーランドが0.5ポイント下落すると見込まれるほか、デンマークが1.2ポイント、ノルウェーが2.7ポイント、スウェーデンが2.8ポイント、アンドラが3.4ポイント、アイスランドが12.4ポイント下がると予想された。
◇財政準則法制化至急…「大統領選候補公約、財源調達策も明らかにすべき」
2030年に韓国のGDP比の一般政府債務比率は英国の106.1%、米国の128.2%、日本の231.7%など主要7カ国(G7)よりは低い。しかしこれらの国は国際的に通用する通貨を発行する基軸通貨国で韓国と状況が異なる。
韓国政府は財政健全性を改善する代案としてGDP比の管理財政収支赤字の割合を3%以内に制限するなど財政準則の法制化が必要だという立場だ。2022年基準でOECD 加盟38カ国のうち35カ国が1件以上の財政準則を施行している。
しかし韓国は10年にわたり空転している。朴槿恵(パク・クネ)政権が2016年に初めて財政準則の法制化を推進したが、弾劾政局に包まれ動力を失った。その後文在寅(ムン・ジェイン)政権時はコロナ禍への対応に向けた大規模財政支出のため後回しにされた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は就任前から財政準則法制化を公約していたが、与党「共に民主党」が「柔軟な財政運用を妨げる」として対立し、さらに弾劾政局が重なりうやむやになった。
6月3日の大統領選挙を控え候補らは競争的に財政支出と租税支出(減税)を拡大する公約を掲げており財政健全性に対する懸念を育てている。最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は▽児童手当て対象の段階的拡大▽青年層の求職活動支援金引き上げ▽地域通貨適用所得控除率引き上げ――などを掲げる。「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補は▽総合所得税算定物価連動制導入と基本控除額拡大▽法人税・相続税最高税率引き下げ▽会社員成果給税額減免――などを公約に掲げた。
韓国マニフェスト実践本部のイ・グァンジェ事務総長は「各公約を実現するための財源をどのように確保するのかの説明がほとんどないことが問題」と批判した。ソウル大学経済学科のアン・ドンヒョン教授は「候補らは根本的な国家財政健全性向上対策である産業育成策の策定に集中しなければならない」と強調した。
2025/05/12 07:37
https://japanese.joins.com/JArticle/333610