「古古古米(非常に古いコメ、政府の備蓄米)はニワトリ『さん』が一番食べている。人間『様』は食べてない」
日本の立憲民主党に所属する原口一博・元総務相が今月8日、日本政府の備蓄米放出政策をこのような表現で批判した。昨年5月から上昇し始めたコメの価格が1年で2倍になると、日本政府は備蓄米を半額で直接放出し始めた。この政策を巡って原口・元総務相は「コメの価格を下げるために飼料用のコメを放出しても食べる人はいない」と指摘したのだ。ところが、実際に半額の備蓄米が放出されると、日本各地の大型スーパーには「開店ダッシュ」で備蓄米を手に入れようと大勢の人たちが行列を作った。高いコメ価格に耐えかねて備蓄米に殺到する国民を、逆に「ニワトリ」と侮辱する発言になってしまったわけだ。
原口・元総務相が守ろうとしたのは国民の健康ではなく、日本版の農協「全国農業協同組合連合会(JA全農)」の利益だった可能性が高い。コメの価格が上がれば上がるほどJA全農の利益は増え、政治家にはその票が集まる。日本政府が備蓄米の放出を先送りし、コメの価格が高騰し続けたのは、背景にこうした政治的な癒着があるからなのだ。
政府がコメをため込んでおいて放出するという政策は、政治的計算が働いてタイミングを逃しやすい。韓国も同じだ。昨年の収穫期にコメ価格が下がると、政府はコメ20万トンを市場に放出せずに買い上げた。昨年はコメの超過生産量が5万6000トンだったが、その3.5倍に当たる量を買い上げたのだ。
ところが、春が過ぎて保管しておいたコメが底を突き始める「端境期」になると、民間のコメの在庫が減少し、価格が恐ろしいほどに高騰し始めた。今月17日現在で、コメ20キロの小売価格は5万8386ウォン(約6200円)で、平年(直近3年間の最高値と最低値を除いた平均値)に比べて12%も上昇している。収穫期に農家が安く売ったコメを、消費者が高く買っている格好だ。
コメ価格が上がり続ける場合、最も迅速な対策は、政府が市場から隔離していた備蓄米を放出することだ。しかし収穫期を前に政府が備蓄米の放出を表明すれば、農業団体はコメ価格が下がると反発するだろうし、政府は農業団体の顔色をうかがって適切なタイミングで放出できない可能性が高い。結局、利益を上げるのは、収穫期にコメを保管しておいて端境期に放出する流通業者だけだ。
李在明(イ・ジェミョン)政権が打ち出したコメ価格の管理策「糧穀管理法改正案」は、こうしたコメの物量調整対策の「ラスボス」のようなものだ。コメ価格が大幅に下落する恐れがあれば、政府が余った米を義務的に買い取り、逆にコメ価格が高騰すれば政府備蓄米を売り出す。農家は余った米を政府が買い取ってくれるため、生産量を減らす必要がなくなる。そうなると、収穫期にはコメの価格が常に下落するようになり、政府は血税を投じてコメを買い取らなければならない。仮に凶作などの影響でコメ価格が上昇しても、備蓄米を放出するまでには農業団体などの反発で長い時間がかかる。消費者は「ニワトリが食べるコメ」を求めて開店ダッシュするという状況に直面するかもしれない。
カン・ウリャン記者
2025/06/29 07:00
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