◇日本文化禁止時代を過ぎ…「合理的韓国ファン増える」
韓国でも日本文化ファンによる「日流」が続いた。韓流にヨン様がいるならば、日流には木村拓哉がいた。2007年に金浦(キンポ)空港の入国ロビーには映画『HERO』のプロモーションのため訪韓した木村を見ようと早朝からファンが集まり「キムタク」を連呼した。最近の人気は韓日合作ドラマに出演した俳優坂口健太郎だ。彼は5月にソウルで単独ファンミーティングを開いた。
昨年4月に韓国と日本の現役歌手が歌の実力を競った芸能番組『韓日歌王戦』が話題となった。韓国人歌手が日本語の歌を歌う場面をテレビで放映すること自体が過去にはありえないことだった。「日本大衆文化は倭色」として禁止されていた時代を考えれば隔世の感だ。
アニメ『宇宙少年アトム』は日本の『鉄腕アトム』」だったが、韓国の作品であるかのように放映された。『日本を禁じる』を書いた北海道大学の金成玟(キム・ソンミン)准教授は、解放後数十年間にわたり日本の大衆文化を禁止したが文化の流れはふせげなかったと話す。ソウル・新村(シンチョン)の大学街では松田聖子ら日本の流行歌をかける喫茶店が流行し、海賊版カセットテープは600ウォンから3000ウォンまで値段が上がった。釜山(プサン)では日本のテレビ局の電波をとらえようと先を争ってテレビを買った。金准教授は「いくら力を入れて境界を引き、強固な防御装置を作動させても、いつのまにか混じり合って以前には見られるなかった新しいものと出会うようになるその過程が文化」と書いた。
韓国人は80年代に「ドラゴンボール」、90年代に「スラムダンク」などに熱狂した。日本で単行本累積1億7000万部を販売した漫画「スラムダンク」は韓国で単行本が1450万部以上売れ、バスケットボールブームを作った。劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は韓国の映画館でも200万人以上が観覧した。出版界の場合『ナミヤ雑貨店の奇跡』『容疑者Xの献身』を書いた東野圭吾が2023年に韓国で最も多く売れた日本人小説家1位となった。
韓国公演界はJポップ全盛時代だ。Jポップの女王安室奈美恵の訪韓公演を準備した慶熙(キョンヒ)大学の朱宰佑(チュジェウ)教授教授は「最近の韓国でのJポップ公演ソールドアウトを見ると感慨深い」と話す。安室奈美恵は2004年に日本人ソロ歌手で初めて単独訪韓コンサートを開いた。この大記録は21年ぶりに破られた。ヒット曲『ベテルギウス』で人気の歌手優里が今年5月にソウルのオリンピック公園KSPOドームで単独公演を行ってだ。
3月22日に日本の国民的歌手米津玄師の初の韓国公演に2万2000人の観客が集まり全席売り切れた。アニメ『推しの子』の主題歌を歌い人気のYOASOBIは昨年12月に2度目の韓国公演を予約開始1分でソールドアウトさせた。
過去には日本製品不買運動の「ノージャパン」の影響で訪韓が難しかった日本の歌手は、いまでは韓国ファンの忠誠度を信じて韓国公演を開く。日本の有名歌手で俳優の星野源は9月13日にソウルでデビュー後初の韓国公演を開く。
元朝日新聞記者の成川彩さんは「ファン層が若い世代に拡大し韓日の政治関係の影響をあまり受けなくなった。彼らは政治と文化を分ける傾向がある」と指摘する。文化評論家のキム・ボンソク氏は「日本ではひとつのコンテンツが古典になればリバイバルされて再び消費される特徴がある」とし、1969年に誕生し依然として人気の「ドラえもん」を例に挙げた。このおかげで韓国の若い世代も日本文化マニアに新規流入し、中高年ファン層も依然として厚く維持できるということだ。
彼は「日本文化は裾野が広くて完成度が高く、韓国でも安定的にファン層が形成されている。一度ファンになれば韓日関係が政治的浮沈を経ても大きく揺らがない」と指摘した。続けて「政治が厳しいほど文化交流は必要だという合理的なファンが韓国で増え、韓日文化交流は持続性を確保することになった」と付け加えた。
*****韓流と日流の話を取り上げるために『韓流外伝』(キム・ユンジ著)、『線を越える韓国人 線を引く日本人』(ハン・ミン著)、『韓流の歴史、キムシスターズからBTSまで』(カン・ジュンマン著)、週刊東亜(2004年12月30日)の記事などを参考にしました。
2025/06/29 11:41
https://japanese.joins.com/JArticle/335610