韓米間に漂う不穏な空気、与党・共に民主党は感情的に対応しては駄目だ【7月11日付社説】

投稿者: | 2025年7月11日

 韓国与党・共に民主党の陳声準(チン・ソンジュン)政策委員会議長は10日の公開会議で「トランプ大統領は防衛費分担金として100億ドル(約1兆5000億円)を要求しているが、これは同盟国への尊重や礼儀が見られない過度で無道な要求だ」と発言した。防衛費分担金は在韓米軍駐留経費のうち韓国が負担するものだが、現状は年間11億ドル(約1600億円)ほどだ。陳声準議長は「事実関係を知っているのか知らないのか分からないが、歪曲(わいきょく)までしているのは実に遺憾だ」「トランプ大統領は韓国に駐留する米軍を4万5000人と発言したが、実際は2万8000人だ」とも述べた。陳声準議長がこのように発言する気持ちは当然理解できる。ただしトランプ大統領が唯一の超大国である米国の大統領であり、韓国の経済や安全保障に大きな影響をもたらす人物である現実も考慮せざるを得ない。

 ここ最近、韓国と米国の間ではさまざまな分野で不穏な空気が漂っている。韓米首脳による電話会談が行われたのは李在明(イ・ジェミョン)大統領就任から2日が過ぎてからだ。しかも米ホワイトハウスが出した当選を祝う論評は韓国の大統領選挙について「中国の影響力行使を懸念し反対する」と言及するあまりに異例の内容だった。先月行われたG7(先進7カ国)首脳会議の際には韓米首脳会談が期待されたが、トランプ大統領が中東問題を理由に突然帰国したため実現しなかった。その後は今なお首脳会談の日程が決められない状態が続いている。

 さらに韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長が米国を訪問した際には「同盟強化」と「首脳会談の開催」を求めたが、これに対する米側の反応は「共感する」だけで、それ以外は何もなかった。しかもこれについて米国からは何の発表もなく、この一言は魏聖洛室長が「米国の反応」として伝えたものだった。かつて韓米両国は意見の違いが多少あったとしても、両国の政府当局者が「鉄筒のような同盟」「光が漏れない協力関係」などと同時に発表し良好な関係を誇示していた。そう考えると今の韓米関係は過去とあまりにも違う。米国のルビオ国務長官は先日、韓国訪問計画を突然キャンセルした。他の日程が重なったためらしいが、関税交渉を担当するベッセント財務長官が近く日本を訪問するのとはあまりに対照的だ。またトランプ大統領とルビオ国務長官のSNS(交流サイト)に「韓国」という言葉はほとんど見られない。

 そのため韓国国内では今のトランプ大統領の態度や言行に不快感を持つ国民も多いはずだが、それでも政権与党が公開の席で米国の大統領を直接非難することは賢明とは言えない。人間の道理に反することを意味する「無道」という言葉は野党代表に対してもあまり使われないため、もしこれが同盟国の首脳に使われたとすれば、それは間違いなく感情的な対応だ。これら一連の事実もトランプ大統領に全て伝えられるだろう。

 韓米関係は関税問題から在韓米軍問題に至るまで何か一つでも亀裂が生じた場合、韓国では国の次元で困難な状況に直面するだろう。ブラジルに対するトランプ大統領の対応を見ると、トランプ大統領は何でもやれるし、また何をするか分からない人物だ。そのため米国との関係について今こそ改めてじっくりと点検し、国益を最大限に得られる解決策を見いだすことが現状では求められている。いずれにしても今後3週間以内に韓米首脳会談を実現させ、トランプ大統領を満足させられる総合的な解決策を提示し、関税交渉を妥結に持っていかねばならない。これは決して不可能なことではない。感情的にならず忍耐を持って取り組むしかない。

2025/07/11 13:15
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/07/11/2025071180058.html

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