「昨年、遺品整理中に手帳を見つけた」
「私はこの日記を断腸の思いで書く。それは、きょうでわが祖国の民主主義が形骸すら消えてしまったからだ」(維新宣布日の1972年10月17日付、金大中の日記)
金大中(キム・デジュン)元大統領=1924-2009=が書いた『金大中 亡命日記』(ハンギル社)が7月22日に出版された。これは、金・元大統領が1972年8月3日から翌年5月11日まで、6冊の手帳に自筆でつづった223ページの記録だ。1973年8月8日に東京から拉致される前まで日記を書き続けていたとしたら、手帳はもう2冊あったはずだと推定される。
当事者が生前言及したことはなく、昨年夏まで誰も日記の存在を知らなかった。元大統領の三男で金大中・李姫鎬(イ・ヒホ)記念事業会理事長を務める金弘傑(キム・ホンゴル)元議員は、7月22日の懇談会で「遺品を整理していたところ、私の議員時代の補佐官がショッピングバッグに入っていた手帳を発見し、ごみ箱に入れられるところだった危機を脱した」と語った。
日記は、日本で維新宣布のニュースを聞いた金大中が、米国と日本で亡命生活を送る中で直面した国内・海外の状況や自分の活動を日付順で記録したもの。「本国で苦労している家族や獄中の同志たちのことを思えば、彼らのために何もできないことがつらい」(1973年1月19日)など、切々とした心境も随所に見られる。
兪碩在(ユ・ソクチェ)歴史文化専門記者
2025/08/03 07:00
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