韓国大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は3日、米国との通商交渉が急進展したポイントとしてスコットランドでの会談を挙げた。金室長はこの日KBS(韓国放送公社)の時事教養番組『日曜診断ライブ』に出演し、「スコットランドの会議が最も実質的だった」とし「スコットランドの会議を終えてから『ランディングゾーン(landing zone・着地点)が見える』(と言った)」と説明した。
米ワシントンD.C.で交渉を行っていたハワード・ラトニック商務長官は、7月27日(現地時間)にドナルド・トランプ大統領に随行するため、交渉の途中でスコットランドへ移動した。これを受けて金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官や呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長など韓国側交渉団もスコットランドへ移動し、交渉を続けた。
金室長は当時の状況について、「(交渉団がスコットランドに)行くことについて、我々内部でも非常に激しい議論があった」とし「あまりにも執着しているような印象を与えると、むしろ交渉に不利」という主張もあったと説明した。それでも金室長は、「実質的に交渉の多くが方向性を定めたのは、スコットランドで2度の面談を(交渉団が)現地から報告した後だった」と語った。
金室長は交渉過程の最大の山場として、7月24日に予定されていた韓米財務・通商長官の「2プラス2協議」がスコット・ベッセント財務長官の日程によりキャンセルされた瞬間を挙げた。金室長は当時を振り返り、「非常に慌てた」と明かした。当初の計画では、具潤哲(ク・ユンチョル)副首相兼企画財政部長官が交渉を主導し、金正官長官が補佐する役割だった。しかし、ベッセント長官との会談が取りやめになったことで、「金正官長官が韓国側の主砲となった」と金室長は説明した。
韓国側交渉団が7月31日にトランプ大統領と会い、最終交渉を妥結した状況についても金室長は説明した。金正官長官がラトニック長官との交渉を主に行っていたが、トランプ大統領と会う際には具潤哲長官が参加するのが望ましいと大統領室が判断し、具長官を急派したという。金室長はトランプ大統領との会談を前に、「ありとあらゆる練習をした」と述べ、先に交渉を妥結した日本とベトナムの事例を研究したと説明した。トランプ大統領が無理な要求をしてきた場合には、韓国側交渉団が交渉を中断して席を立つことまで想定していたという。
金室長は造船分野での協力カードが交渉妥結に大きな効果を発揮したと明かした。「実のところ、造船がなければ交渉は平行線をたどっていたかもしれない」とし、番組内で交渉団が米側に贈呈した「MASGA帽」も公開した。「MASGA(Make America’s Shipbuilding Great Again)」は、トランプ大統領の政治スローガン「MAGA(Make America Great Again)」に造船業協力の意味を加えたものだ。金正官長官がこの帽子や大型パネルなどを携えて、造船協力投資パッケージ「MASGA」を説明したところ、ラトニック長官が「グレートアイディア(Great Idea)」と称賛したエピソードも金室長は伝えた。
2025/08/04 08:56
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