【社説】まだ終わっていない韓米関税交渉…自賛よりも細部を取りまとめる時

投稿者: | 2025年8月5日

先月31日の米国との電撃的な関税交渉妥結は韓国経済にひとまず安堵感を抱かせた。米国が決めた交渉期限直前に関税不確実性がある程度解消されたためだ。輸出で生きる韓国の切迫感がそれだけ大きかったという意味でもある。表向きには相互関税15%は日本と欧州連合(EU)と比較しても大きく不利ではないと評価される。

だが交渉妥結だけで「成功的」だったと安住する時ではない。何より今回の妥結は合意文すらなく、今後の解釈と後続交渉で争いが起きる素地が少なくない。実際に韓米両国は分かれた解釈を出した。ラトニック米商務長官は「韓国の対米投資ファンド収益のうち90%を米国が持っていくだろう」と明らかにしたが、韓国大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は「収益構造はまだ決まっていない」と明らかにした。韓米間の同床異夢があらわれたのだ。不確実性が大きいだけに企業は不安だ。大韓商工会議の崔泰源(チェ・テウォン)会長はきのう産業通商資源部の金正官(キム・ジョングァン)長官と会った席で、「交渉が終わったとは言いがたい」とし、政府が継続して細部を取りまとめて新たな通商戦略を立ててほしいと要請した。

 非関税問題も信管だ。オンラインプラットフォーム法、精密地図搬出など韓国企業が逆差別を懸念したり敏感になる懸案がいつ後続交渉テーブルに上がるかわからない。それでも韓国政府と与党は「妥結=成功」という雰囲気に酔っているようで懸念される。米国の好感を得るために「MASGA」(米造船業再建)と書かれた帽子を作ってプレゼントしたとか、2007年の狂牛病懸念デモの写真を見せて議論を避けることができたという「武勇伝」がすごい成果かのように膾炙する現実は心苦しい。

事実、冷静に問い詰めれば韓国輸出企業は突然に韓米自由貿易協定(FTA)という傘を奪われた格好となった。特に自動車関税の場合、日本は既存の2.5%から15%に上がったが、韓国は無関税の恩恵がなくなり不利になった。鉄鋼もやはり50%の品目別関税が課され輸出競争力が脅かされている。ここに政府と与党は法人税増税と労働組合および労働関係調整法改正案など反企業規制で企業の負担を育てている。

トランプ米大統領の不可測な交渉方式もリスクだ。韓国政府はコメと牛肉に対する追加市場開放議論はなかったと線を引いたが、トランプ大統領は自身のSNSで「韓国が米国産農産物を受け入れることにした」と明らかにした。トランプ大統領が近く開かれる韓米首脳会談で防衛費分担など新たな要求をいきなり提起する可能性もある。それならいまは交渉が成功的だと自賛する時ではない。韓国政府は韓米首脳会談が終わる時まで緊張を緩めず細かい戦略を立てて内実を取らなければならない。「悪魔は細部に宿る」という警告を忘れてはならない。

2025/08/05 11:44
https://japanese.joins.com/JArticle/337188

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