◆在韓米軍、縮小か役割調整か
では、「韓米同盟の現代化」という名で推進中の在韓米軍の未来はどうなるのか。米国内では2つの主張がある。一つは、韓国に配置された約2万人の陸軍戦力は北朝鮮抑止が目的であるため戦略的柔軟性が落ち、縮小または撤収するべきという調整論者の主張だ。ヘグセス国防長官、コルビー国防次官など国防総省の首脳部が代表的な人物だ。特に、彼らは中国の短距離ミサイルの射程距離内にあるキャンプ・ハンフリーズ(京畿道平沢)に駐留中の在韓米軍を、米国の海洋防御ラインを守るのに適した地域に分散配備することを主張している。
半面、米上下院内の多数、統合参謀本部、陸軍、インド太平洋司令部、在韓米軍司令部など多くの米軍指導部と日本は、対中国抑止のためにも対北朝鮮抑止が重要だとして在韓米軍の撤収や大規模な縮小に反対している。有事の際、中国の台湾侵攻と北朝鮮の韓国侵攻が同時に進行して「二重戦線」が形成される可能性が高いという点でだ。ただ、彼らも在韓米軍をインド太平洋地域作戦に投入するために2006年に韓米が合意した戦略的柔軟性を強化する必要があるという点は認めている。
こうした流れの中、今後、在韓米軍の変化の方向は大きく5つのシナリオで考えることができる。全面撤収、大規模縮小(陸軍撤収)、制限的縮小、役割調整、現状維持だ。外交・安保専門家らはこのうち制限的縮小または役割調整の可能性を予想している。
制限的縮小シナリオは、米国防総省が海外の報道を否認したが約4500人の在韓米軍を縮小する案だ。在韓米陸軍の主力であるストライカー戦闘旅団の撤収の可能性だ。役割調整シナリオは、在韓米軍の現在の規模を維持するものの、ストライカー戦闘旅団を機動性が大幅に強化された軽戦闘旅団または特殊作戦部隊に変えて域内作戦に投入することだ。状況によって2つのシナリオが並行される可能性もある。
◆朝米交渉カードの可能性を遮断するべき
在韓米軍の未来に影響を及ぼすもう一つの変数は朝米会談だ。トランプ大統領はすでに1期目の2018年に開かれた朝米シンガポール首脳会談当時から、在韓米軍の撤収を北核交渉カードとして使用する動きを見せた。当時はいわゆる「大人の枢軸(Axis of Adults)」(米国優先主義で同盟を冷遇するトランプを牽制した米軍の将軍出身者ら)の引き止めで現実化しなかったが、トランプ2期目には彼らのような存在がいない。また、現在までトランプ大統領のこうした立場に変化が生じる兆しも見えない。
国立外交院のチェ・ウソン教授は最近の報告書「米軍の軍事力再配備展望と韓米同盟」で「今後の協議過程で韓国の強い軍事力と経済力、造船業など防衛産業基盤の戦略的価値、韓米同盟の対中国防御力保有、適切なレベルの国防費増額などをカードとして米国側を積極的に説得するべき」と提案した。
チャ・セヒョン/論説委員
2025/08/06 15:38
https://japanese.joins.com/JArticle/337256