急進的な政治を実現しようとする者、「一切の希望を捨てよ」【寄稿】

投稿者: | 2025年8月11日

 保守ポピュリズムの台頭は、ヴァルター・ベンヤミンの「すべてのファシズムの背後には失敗した革命がある」という言葉で説明できる。自由民主主義が労働者階級の不満を汲み取れないあいだに、その隙を突いた極右ポピュリストが、自由主義エリートに搾取される労働階級の代弁者を自任したのだ。しかし、大衆の怒りをなぜ左派ではなく右派が組織化に成功したのかという問いは、依然として残る。

 最近、ある日本の青年から次のようなメッセージを受け取った。「極右政党の参政党が若い層の支持を得て、前例のない勝利をおさめました。一方、京都の街頭で70代以上の左派が猛暑のなかで発言を続ける場面をみましたが、誰もその人たちには目を向けませんでした。このような右傾化の流れのなかで無力感を感じます。逃げ場はあるのでしょうか。もはや、われわれが足を踏み入れる新天地はないように思えます」

 そうだ。いまやわれわれは、逃げ場も新しい代案そのものもない膠着状態に陥っていることを、完全に認めなければならない。希望は解決策ではなく、他人が代わりにやってくれることを待つ言い訳にすぎない。希望がないことを受け入れる勇気を持つことが何より重要だ。ダンテの地獄の門には「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」という文言が記されている。真の急進政治はまさにこのこと、現体制では変化が不可能だという認識を持つことから始まる。

 革命は歴史の法則によって機械的に進む過程に変質したが、革命のためには、地図なしで航海する者の大胆さ、すなわち、急進的な断絶が必要だ。こんにちのわれわれは、これまで以上に認知的な地図が存在しない状況下で、未知の領域を航海している。しかし、われわれが経験するこのような不在は、むしろ、全体主義的な終結に向かうことを回避するための条件になりうる。

 現在のグローバル資本主義は、想像を超える水準で緊密に結びついている。あらゆるものが取引対象になり、ドナルド・トランプは米国の受刑者をエクアドルに移送しようとしており、北朝鮮はロシアに兵士を売って前線に送っている。このような混沌とした状況下では、現実主義的ユートピアと呼べるものが必要だ。責任とリスクを認識する中道保守勢力が日常を管理し、新左派エリートが到来する破局に対処する静かな連合が必要だ。しかし、保守はポピュリズムに蚕食され、左派は偽りの平和主義に封じ込められ、両勢力がともに政治の舞台から消えつつある時代においては、これは過度にユートピア的な夢にすぎないだろう。

 そこで私が提案するのは、原則を持つ実用主義だ。人類の生存という重要な目標に集中し、そのために必要なことであれば何でも受け入れるのだ。民主主義を用いるが、必要であれば、国家統制や大衆動員も辞さないのだ。最近、イーロン・マスクがトランプと決別した後、アメリカ党の結成を宣言したが、このような試みは、本来は左派が先にすべきだった。バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスのような米国民主党内の左派は、腐敗した民主党を離党し、新党を立ち上げるべきだった。

 T.S.エリオットは、信義を守るためにはあえて異端に踏み込まねばならない瞬間がある、と言った。レーニンは伝統的なマルクス主義に対してそれを実践し、こんにちでは、左派が優柔不断で異端的な決別を断行できなくなっているあいだに、逆説的だが、トランプが新自由主義に対して同様に振る舞った。いまこそ左派は、先入観を捨て、愛国心や家族のような価値ですら、敵から奪い取るべきだ。異端であればいいというわけではない。たとえば、聞く人が誰もいないにもかかわらず、真実を叫んでいるという事実に満足するだけの新興の少数政党や、選挙のたびに議会で生き残れるかどうかにおびえるだけの政党であってはならない。われわれには、ヘゲモニーを勝ち取る可能性があり、実効性のある効果を出せる異端が必要だ。

2025/08/10 19:34
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/53926.html

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