【コラム】ワシントンに強力な「コリアベースキャンプ」構築しなくては

投稿者: | 2025年8月11日

トランプ政権との交渉が日本と同じ15%の相互関税率で確定してひとまず山場は越えた局面だ。しかし日本と台湾のような伝統的な対米外交強国の伝統、能力と資産、そしてその執拗さに比べ不安感を隠すことができないのが韓国の総体的対米外交だ。与党内の混乱で失敗に終わった対米特使団議論が代表的だ。トランプ政権幹部との接触・チャンネルが全くない大統領選挙論功行賞の結果だった。ホワイトハウスが会ってくれる韓国の外交人的資産がほとんどないという憂鬱な傍証であるだけだった。

韓国の対米輸出競争国である台湾と日本は強力な対米友好の伝統を続けてきた。ワシントンの台湾代表部「ツインオークス」は旧中華民国駐米大使官邸だった。一帯では最も雄壮な邸宅だ。米中修交で国交を断絶しても米国はこの官邸を台湾が維持できるようにした。修交した中国に明洞(ミョンドン)の一等地にあった中華民国大使館を譲り渡した韓国とは違った。ツインオークスに招かれて食事をしたことのない米国議員はほとんどいないというのが定説だ。台湾の祝日にツインオークスで米下院外交委員長は「台湾保護が米国の安全保障と経済利益の核心」「台湾を愛している」と話して拍手を浴びた。中国の激しい反発にも台湾を訪れたペロシ下院議長が「台湾を守ろうとする米国の決議は強固だ」と述べた確信も一朝一夕に出てきたものではなかった。中国は台湾に対抗して崔天凱大使を2023年まで8年間在任させてチャンネルを構築した。名前を知らせる前に政権によって交代させられたのは韓国の駐米大使だった。

 桂タフト協定以来120年間の対米外交経験を蓄積した日本はワシントンの都心をサクラであふれさせた。1921年に東京市長が贈った苗木3000株が広がり友好の象徴として満開となった。150万人が訪れる全米桜祭りに日本企業は日本酒、和食、着物など日本文化を紹介するイベントで協賛してきた。台湾と日本のたゆまぬ米国重視の動きは国益への「切実さ」から出た。台湾は生き残るための救援者が米国だけなのですべてを懸けた。台湾系僑民を武器に米議会内に親台湾議員会合を結成した。200人余りに達する。敗戦の衝撃と対米通商を通じた超強大国への跳躍過程で日本もやはり米国との友好は不変の基本外交だった。両国とも共産中国と対抗する自由民主主義の砦という自分の存在価値を絶えず米国に注入してきた。

これに対し韓国は韓国戦争(朝鮮戦争)後25年間の米国の経済・軍事援助の最大の受恵国として過ごし切実さを忘れた過去がある。朴正熙(パク・チョンヒ)政権の人権弾圧に不満を持ったカーター政権の米軍撤収推進に衝撃を受けあたふたと乗り出したが朴東宣(パク・ドンソン)の「コリアゲート」という途轍もない事件を引き起こすことになった。「終戦宣言」に力を入れた文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に起きたスミ・テリー氏ロビーの波紋のやはり身動きの幅を狭めた。「スミ・テリー事件後に米議会補佐官は韓国側とはランチも一緒にしない」というのがワシントンの伝言だ。北朝鮮の核抑止の安全保障同盟、安定的巨大市場の観点で対米関係の重大さ、切実さをしっかりと気づかせたのが逆説的に最近のトランプ大統領の圧迫だった。

韓国の慢性病である分裂こそ最も大きな弱点だ。ワシントンの元外交官は「韓国の大企業はワシントン情報をほとんど共有しない。米造船産業支援もハンファオーシャンとHD現代間の競争が過熱しこれを看破した米国側が両社の競争を活用しようとする動きまである」と伝えた。彼は「政府・企業・民間が一糸不乱に声をそろえる日本や台湾と違い、韓国は少なくない資金を使いながらもバラバラで非効率なだけ。韓国議員団が一緒に米議員と会えば与野党がそれぞれ相反する要求をしてまったく異なる解釈をし嘲弄の種になって久しい」という。外交の最も大きな武器は国の統合だ。

ソフトパワーを通じた多元的アプローチの時代だが、米高位層との握手と写真撮影が韓国外交の水準だった。日本の首席代表である赤沢亮正経済再生担当相はMAGAの帽子をかぶらされる屈辱にも「それでは来週また会いましょう」と言いながら3カ月間に8回ワシントンを訪れた。黙々と米国に力を入れてきた日本外交の伝統だ。民間企業が出資する笹川財団もやはり米学界、民間に資金を投じて入り込んだ。戦略国際問題研究所(CSIS)のようなシンクタンク、博物館などへの寄付と政府職員派遣で知日派を増やし続けてきた。ホワイトハウスと議会に影響を与える外郭世論まで重視する緻密さだ。

「トランプはトランプの言葉だけ聞く」がワシントンの定説だ。「ただひとつトランプが気を遣うのが主要相手国の首脳」というのが大使館関係者の分析だ。半月後の首脳会談で李在明大統領がトランプ大統領との個人的接触・信頼を作るのは最優先だ。ヨン・キム氏ら韓国系米議員5人も強固な友軍として取りまとめてほしい。CSISなどシンクタンクを訪れて知韓ネットワークの意志を見せよな。何より対米外交を点検・再整備してワシントンに強力な「コリアベースキャンプ」を構築しなければならない時間だ。

チェ・フン論説委員

2025/08/11 17:58
https://japanese.joins.com/JArticle/337434

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)