韓国政府、韓米首脳会談で原子力協定改正推進…核燃料の濃縮・再処理含む

投稿者: | 2025年8月21日

 韓国政府は米政府に対して両国の原子力協力などを強調しつつ、韓米原子力協定の改正に乗り出している。

 複数の外交筋は20日、政府がすでに米国と韓米原子力協定の改正に向けた議論をはじめており、25日(現地時間)に米国のワシントンで行われる李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ大統領の首脳会談でもこの問題を扱う予定だと語った。両大統領が今回の首脳会談で改正に同意すれば、本格的に実務交渉がはじまる可能性がある。

 チョ・ヒョン外交部長官は今月14日、「原子力、造船、人工知能(AI)、量子、バイオなどを網羅する技術同盟レべルへと韓米同盟を拡大するとともに、深みのあるものにしようという方向で、今回の首脳会談を準備している」と語っている。18日の国会外交統一委員会全体会議では、今回の韓米首脳会談で韓国が得るべきものとして、核燃料の濃縮や再処理などの原子力に関する事案をあげている。両国がウィンウィンとなりうる協力分野として原子力をあげつつ、韓米原子力協定の改正の意志を明らかにしたのだ。

 現行の韓米原子力協力協定の有効期限は2035年。有効期間が10年も残っている協定の改正を政府が急きょ推進するのは、原発に使われる核燃料の製造のためのウラン濃縮と、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理の権限を確保するためだ。軍事目的ではなく産業・医療用などの平和目的で使用するための濃縮・再処理は、核不拡散条約(NPT)体制においてすべての核非保有国に与えられた権限だが、2015年に改正された現行の協定は、米国の同意を得なければウラン濃縮(20%未満)と再処理はできないと規定している。

 政府は、世界5位の原子力産業を持つ韓国が核燃料の製造と再処理ができないのは現実と合わない、と説得しているという。ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク客員研究員も、「日本とドイツも原子力発電に必要な濃縮・再処理技術を確保しており、韓国もその程度は確保する必要がある」とし、「米国は数十年間それを制限してきたが、最近はサウジアラビアとも濃縮技術について協議するなど、過去とは状況が変化している」と語った。韓国核政策学会のチョン・ボングン会長はこのことに関連して、最近トランプ大統領が原発を300基増設する大統領令に署名したことなどをあげ、「トランプ大統領には原発拡大に対する強い意志があるが、米国の原発を自ら建設する能力が弱まっている中、韓国が積極的にかかわり、米国の原子力活性化を支援するかたちで問題を解決しうる」と述べた。

 だが、協定の有効期間がまだ10年も残っているだけに、米国政府が協定の改正に簡単に同意するかは未知数だ。最近、国民の力を中心とした韓国の政治家の間から公然と「核武装」の必要性を主張する声があがったことに対し、米国エネルギー省は今年初めに韓国を「センシティブ国」に指定してもいる。このような状況で下手に協定の改正を試みても副作用が起きるだけになりうる、とも指摘されている。韓国科学技術企画評価院のイ・チュングン招へい専門研究委員は、「韓国の実情と米国の立場をよく見極めて、省庁間で調整された様々な案を細心の注意を払って用意すべきで、下手をすると国際的に波紋を起こすだけになり、原子力産業まで深刻な打撃を受ける恐れがある」と述べた。

2025/08/20 16:02
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/54018.html

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