李在明(イ・ジェミョン)大統領が韓日首脳会談を控えて日本メディアのインタビューで、北核解決策として「3段階非核化論」を初めて提示した。新政権の北核政策目標を韓半島(朝鮮半島)非核化に設定し、第1段階は北朝鮮の核・ミサイル凍結、第2段階は縮小、第3段階は完全な非核化到達とするロードマップだ。完全な非核化はすぐには難しい現実を考慮した苦肉の策だが、北朝鮮の核保有を容認する結果につながるという懸念もある。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は非核化の考えがないとことを何度か明らかにし、むしろ核兵器の小型化・多種化に没頭してきた。こうした状況で完全な非核化と体制の保証を一度に交換する「ビッグディール」は事実上不可能だ。しかも2022年のウクライナ戦争以降、中国とロシアが北朝鮮制裁の国際社会の連携から離脱したため、制裁と圧力で北朝鮮の非核化を引き出すのは容易でない。李大統領の3段階提案がこうした状況を考慮したものであるのは明らかだ。
問題は3段階非核化論が2019年の朝米ハノイ首脳会談当時に金委員長が提示した「スモールディール」と似ている点だ。当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「核凍結が対話の入口であり、対話の出口は完全な核廃棄」という立場を固守した。今回の3段階ロードマップは歴代政権が維持してきた「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」原則から後退したという批判を避けがたい。
専門家らは北朝鮮が50個ほどの核兵器をすでに保有していて、生産された核物質で最大90個の核弾頭を製造する能力があると推定する。こうした状況で追加の核実験および核物質の追加生産、核施設拡張を中断する凍結レベルから交渉を始めれば、北朝鮮が制裁緩和などの反対給付を要求するのは明白だ。その場合、北朝鮮の核能力はそのまま維持されて対北朝鮮制裁だけが消える結果になりかねない。我々には最悪のシナリオとなる。
李大統領はインタビューで「米国と緊密に協調し、凍結・縮小・廃棄まで進むことができる環境をつくる」と述べた。23日の韓日首脳会談、25日(現地時間)の韓米首脳会談で、李大統領が日・米の首脳とこの問題について深く議論すると予想される。特に北朝鮮を「核保有国(Nuclear Power)」と表現したトランプ大統領が北朝鮮の核保有を追認したり、今後の朝米会談で北朝鮮が望む核軍縮局面に移らないよう説得することが重要だ。
北朝鮮は韓国を交渉相手として認めていない。それでも手放しにはできない。政府は多角的な外交チャンネルと韓米日の連携を通じて北朝鮮を対話の場に引き出し、同盟と共に北朝鮮が実質的な非核化に進む道を模索しなければいけない。
2025/08/22 16:03
https://japanese.joins.com/JArticle/337893