トランプ流交渉術を前に最後まで緊張した初の韓米首脳会談、何とか無難に終えた【8月27日付社説】 

投稿者: | 2025年8月27日

 李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ大統領の最初の韓米首脳会談が友好的な雰囲気の中で終了した。当初懸念されていたトランプ大統領の突発的な発言などはなく、在韓米軍、対中・対北朝鮮政策、関税交渉などいずれも大きな対立は表面化しなかった。

 緊張状態は会談直前まで続いた。その理由はトランプ大統領が会談3時間前にSNS(交流サイト)に「韓国では粛清か革命が起こっているようだ」と投稿したためで、これは同盟国への言及としてはあまりに攻撃的な表現だ。トランプ大統領は「そんな場所でビジネスができるのか」とも指摘したが、この言葉は「通常の取引は難しい」という意味にも解釈できる。さらに韓国で行われた教会や在韓米軍基地への家宅捜索も問題と指摘するなど、特別検事の捜査に対し否定的な考えを表明していた。これらの挑発的なメッセージに韓国の大統領支持者の間からは強く反発する声も上がり、そのため会談は始まる前から暗い影がさしたかのように思われた。

 ところが実際はこれらの懸念を洗い流すほど会談は良好な雰囲気の中で行われた。トランプ大統領は李在明大統領を「偉大な戦士」「利口な人」などと称賛し、また今年10月に慶州で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力体)首脳会議についても「行けると思う」との考えを示した。さらに韓国国内の事情についても「誤解していた」として「米国から完全な支援を受けられるだろう」と述べた。

 この逆転はトランプ大統領の特徴と関心を想定した李在明大統領の準備がうまくはまったからだろう。李在明大統領はトランプ政権で史上最高値を記録した米国の株価上昇を称賛し、またトランプ大統領が意欲をみせる金正恩(キム・ジョンウン)総書記との直接会談についても「実現に向けて積極的に後押しする」とした上で「ピースメーカーの役割を果たしてほしい」と持ち上げた。李在明大統領が韓日首脳会談を足がかりに今回の会談に臨んだこともプラスに作用した。トランプ大統領が「韓国と日本は仲良くするのがそんなに難しいのか」と問いただすと、李在明大統領は「日本に先に立ち寄って整理してきた」と答えた。

 一方で今回の会談をめぐっては「具体的なテーマは何も整理されなかった」との指摘もある。両首脳は「同盟の現代化」で一致したようだが、在韓米軍の役割調整など明確な合意は何も引き出せなかった。

 またすでに合意した3500億ドル(約52兆円)の投資ファンドとは別に韓国側は1500億ドル(約22兆円)の追加投資というプレゼントを準備したが、韓国経済にとって大きな懸案である半導体関税や原子力分野での協力で目に見える成果はなかった。今後対立が表面化する火種がそのまま残ってしまったのだ。そのため野党からは「冷たくあしらわれ、韓国の負担が重くなっただけ」「会談は50点」と厳しい評価が下された。

 ただしトランプ大統領の支持層から「反米・親中」などと疑いの目を向けられていた李在明大統領としては、予測できないトランプ大統領との最初の会談を何とか無難に終えたと言えそうだ。ひとまず大きな峠は越えた。

2025/08/27 09:23
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/08/27/2025082780020.html

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