【コラム】トランプ政権の世紀的プロジェクトと韓国(1)

投稿者: | 2025年9月21日

米第2次トランプ政権が世紀的な巨大プロジェクトを推進している。

17世紀以降世界の覇権国の浮沈には一定のリズムが繰り返されてきた。オランダ、英国、米国はいずれも新しい技術を基に製造業と貿易で輝かしい成就を成し遂げて覇権を握った。しかし次第に社会内部に利益集団が蓄積され制度的硬直性が深刻化し覇権国後期には金融とサービスに重心を移す共通の軌跡を描いた。

 例えばオランダは優れた造船能力と航海術を基盤に海上運送を通じて世界貿易を支配した。東インド会社は全盛期にアムステルダム株式市場でその価値が7700万ギルダーに達したが、これは当時の欧州のすべての会社を合わせたより大きい規模だった。そのうち徐々に金融中心経済に変わった。チューリップバブルの1636~37年当時、貴重品種のチューリップの球根1個がアムステルダム都心部の住宅1軒より高く取引されたという。

英国は第1次産業革命当時、蒸気機関など先進技術を開発して「世界の工場」になった。1870年代には製造業が英国の国内総生産(GDP)の約40%を占めた。しかし19世紀末になりロンドンの金融市場である「シティ・オブ・ロンドン」は世界の資本市場と貿易決済のハブに成長した。自動車など新しい技術発展の入口でマンチェスターの工業地帯は資本投資を渇望した。それでもロンドンの金融街は彼らの資本をドイツと米国など海外に投資し未来挑戦国の製造業発展に寄与した。

米国は第2次世界大戦を前後して製造業を通じ世界経済を牽引した。1950年には米国全体の労働人口の約35%が製造業に従事したが、いまは8%水準だ。反対にサービス業従事者は80%水準だ。米国経済の中心が自動車、鉄鋼、造船などの製造業からウォール街の金融、シリコンバレーのIT産業にシフトしたのだ。このような構造変化は世界化を通じた世界的分業と中国など新興国への生産外注拡大でさらに深刻化した。その過程で最も得をしたのが中国だ。

トランプ米大統領はこのような覇権国の伝統的な経済変動の経路を戻そうとしている。「米国を再び偉大に(MAGA)」という目標の下、製造業の再復興を夢見ている。4月2日に約60カ国を対象に最小10%の一般関税と差別化された高率の相互関税を課した。その上で高い関税率を避けたければ米国に投資しろと要求し、これに対し欧州連合(EU)は6000億ドル、日本は5500億ドル、韓国は3500億ドルの投資を約束した。こうしたトランプ大統領の覇権回復、歴史巻き戻しプロジェクトは米国国内政治と深くつながっている。新自由主義世界化の流れの中で金融・ITなど高学歴サービス従事者は民主党を支持するブルーステートの大都市に集中した。これに対しトランプ大統領は農業地帯とラストベルトの白人のうち低学歴労働者層、そして一部激戦州有権者の支持を基に政治的主導権を取り戻した。いまや彼は米国経済が金融・サービスに過度に傾いた構造を補完し、製造業と生産部門の割合を強化しようとしている。

2025/09/21 10:00
https://japanese.joins.com/JArticle/338904

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)