出国前に反共教育、帰国時は両手に「象印炊飯器」(2)

投稿者: | 2025年10月8日

◆「地図の外に行軍」 バックパック旅行ラッシュ

変わった世の中に迅速に対応したのは90年代の青春だった。87年に民主化し、翌年にソウルオリンピック(五輪)を目撃したその時代、若者は壁を越えて世界に向かった。「世界は広くてやるべきことが多い」ことを知った青春は次々と地図の外への行軍を敢行した。「バックパック旅行第1世代」の誕生だ。彼らは大胆だった。89年に大学生の家庭教師が認められ、小遣いを親に頼る必要がなくなった。語学研修ブームが広がり、ワーキングホリデービザも導入された。

 多くのバッグパッカーが向かったのは欧州だった。「ユーレイルパス」を手に握ってできる限り多くの国を訪問するのが流行だった。イタリアのローマのベンチで眠り、オーストラリアのアウトバック牧場で牛の糞を片づけながら、パスポートに押されるスタンプの個数を増やした。当時、100カ国以上を訪問した韓国人が続出した。バックパック旅行第1世代にあたるシンバルクン旅行会社のチャン・ヨンボク代表は「当時は夜行列車で寝たりユースホステルを転々とした」とし「北朝鮮に対する好奇心から北朝鮮の食堂に行ったりもした」と語った。

90年代に個性と自己表現を重視したX世代が誕生したのもこのような背景からだ。世界を回ったバッグパッカーは以前の世代と全く違う新人類だった。彼らは現地で習得した英語の実力とグローバル感覚で新千年を迎えた。外国に対する意識、あるいは無意識的コンプレックスから抜け出した。彼らを中心にレンタカー・ペンションのような先進国レジャー文化が入ってきた。キム・ボンソク文化評論家は「90年代は集団の時代から個人の時代に変わる変曲点だった」とし「ちょうどその時代に海外旅行が自由化され、個人の思考領域が急激に拡張した」と評価した。

21世紀の大韓民国は地球村旅行市場で存在感を表している。世界のどこに行ってもK-POPスターの名前が聞こえ絵、韓国人を歓迎する現地人と韓国語で「パリパリ(速く速く)」を叫ぶ現地ガイドがいる。韓国のパスポートパワーは現在世界3位であり、韓国人はノービザ192カ国を旅行できる。IT技術の発達で旅行の映像も革命的に変わった。21世紀の旅行者は紙の地図を見ない。グーグルマップを開けば解決する。格安航空のおかげで済州(チェジュ)行きの航空料より安いチケットで日本でうどんを食べて来る週末が可能になった。

振り返ってみると、わずか一世代での変化だ。その間に世界を回りながら見聞きした我々の経験は21世紀の地球村の競争を解決していくエネルギーになった。現地文化に対する理解が外交と通商の基礎であるからだ。文化が経済であり、経済が文化である時代だ。K-POPやKドラマなど最近火がついたKカルチャーパワーもこのような若い創作家たちのグローバル感覚のおかげだ。海外旅行の自由化は「韓国人の情緒的・心理的舞台が狭い韓半島(朝鮮半島)を抜け出した決定的事件」(世界旅行家家ハン・ビヤ)という点は間違いない。

2025/10/08 13:42
https://japanese.joins.com/JArticle/339547

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