「教諭になったことを後悔」 韓国はOECD1位21%

投稿者: | 2025年10月26日

 韓国の小学校教諭Aさんは最近うつ病の診断を受けた。1学期の授業中に悪口を言って突然教室を飛び出した生徒に注意を与えたのが発端だった。保護者は「なぜうちの子をしかりつけるのか」「児童虐待で通報する」と抗議した。Aさんは苦情が続いたことで仕事に興味を失ったほか、心も不安になり、病院に行ってうつ病の診断を受けたのだ。Aさんは「今後、教諭生活を続けていくことができるかどうか分からない」と話した。

 韓国人教諭が父兄の苦情と生徒の暴言のために受けるストレスが、世界的に最も高い水準であることが分かった。教諭になったことを後悔すると回答した教諭の割合はOECD(経済協力開発機構)で1位だった。

 10月7日、OECDが発表した「TALIS(OECD国際教員指導環境調査)2024」の結果によると、韓国人教諭の56.9%が「保護者の苦情に対応する」のが主なストレスの要因だと答えた。調査対象国のうち、ポルトガル(60.6%)に次いで2位だった。OECD平均(41.6%)よりも15.3%も高く、2018年の調査(40.4%)よりも16.5%も増えた。

 OECDは2008年から5、6年ごとに加盟国の幼稚園、小・中・高校教諭の業務環境を幅広く調査したTALISを発表している。今回の調査には54カ国(非会員22カ国を含む)の中学校教諭12万人、校長1万1000人が参加した。韓国からは教諭3477人、校長173人が調査に応じた。

 韓国人教諭たちは他国に比べて教諭の業務の本質である「授業」以外にも、その他の部分で多くのストレスを受けていることが分かった。例えば、「生徒の脅威と暴言」がストレスの要因と回答した教諭は30.7%でOECD平均(17.6%)の2倍に上った。全調査対象国のうち4位だった。一方で、「授業の準備が多過ぎる」(18.1%)など、教育関連のストレスを経験した教諭はOECD平均より低かった。韓国の教諭は、行政業務にかける時間も1週間に平均8時間と、OECD平均(4.7時間)より3.3時間長く、全体で3位だった。

 実際の現場では、生徒に脅威を感じたという教諭が少なくない。慶尚北道の中学校教諭のBさんも、授業中に化粧をする生徒を注意したところ、恥をかかされた。生徒はBさんの背後から暴言を吐き、友人には「B先生を殺してしまいたい」とも話したという。教権保護委員会が開かれたものの、生徒は「停学10日」の措置を受けるにとどまった。

 「教職はデメリットよりもメリットの方が多い職業だ」と考える韓国人教諭は76.9%で、OECD平均(73.9%)よりも高かった。だが、教諭になったことを後悔していると回答した割合は21%で、調査対象国の中で1位だった。教職が社会的に認められると考える教諭は35.2%で、OECD平均(21.7%)を上回ったものの、6年前に比べると32%低下した。

 教諭たちは「瑞二小学校事件(教諭が学校生活を苦に自殺した事件)後も何ら変わっていない」と口をそろえる。2023年、瑞二小の教諭死亡事件が話題に上ると、教育部(日本の省庁に相当)はすべての苦情に学校が対応するよう発表した。しかし、現実にはこのようなシステムがうまく作動していない。慶尚南道のある中学校教諭は「苦情対応チームが1次的には電話を取るものの、結局事情を知っている担任に苦情の解決を任せているのが大半」と肩を落とす。

 教諭団体は教諭たちが授業に集中できるように苦情と行政業務を大幅に減らさなければならないと要求している。韓国教員団体総連合会(韓国教総)のチャン・スンヒョク報道官は「『悪性の苦情』は1件でも教権侵害と見て、強力な処罰を下すことが必要」と明らかにした。

キム・ミンギ記者、オ・ジュビ記者

2025/10/26 08:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/18/2025101880014.html

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