半導体市場の急所狙った…中国の新たなレアアース規制(2)

投稿者: | 2025年10月28日

サムスン電子とTSMC、アップルもやはり中国の圧迫から自由ではない。サウス・チャイナ・モーニング・ポストは中国コンサルティング企業代表の話として「今回のレアアース措置にはサムスン電子の第9世代V-NAND、エヌビディアのH100、アップルのA18PROチップなどが含まれる。チップ生産が1~2四半期遅れる可能性が高い」と伝えた。

◇イーロン・マスクがなぜ出てくる?

 レアアース制裁の余波はロボット産業にも広がっている。テスラのイーロン・マスクCEOは4月、1-3月期の業績発表カンファレンスコールで中国のレアアース規制による「磁石供給網問題」でヒューマノイドロボット「オプティマス」の生産に支障が生じたと明らかにした。

ヒューマノイドロボットの関節に使われるモーターにはネオジムやジスプロシウムなどレアアース磁石が必要だ。中国天風証券の報告書によると、ロボット1台当たり2~4キログラムのネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)成分の永久磁石が使われる。1億台を仮定する場合、永久磁石材料需要は20万~40万トンに達する。業界によると世界供給量の85~90%を占めている中国の年間NdFeB生産量は2023年基準で約24万トンだ。

こうした中国が米国の高率関税に対抗してレアアース磁石類の輸出規制を始めた。輸出企業は中国商務省にレアアース輸出許可証を申し込まなくてはならず、許可証発給は6~7週間から数カ月必要になる可能性がある。今年数千台のオプティマスを生産する計画だったテスラの立場ではため息が出る状況だ。

米中対立は5月以降休戦局面を続けてきたが、今月に入り緊張感が再び高まっている。10日に中国の新たなレアアース制裁発表に対抗し米国が中国製品に100%の追加関税を予告すると、ニューヨーク証券市場で7大テック株の時価総額が1日で7700億ドルが蒸発した。

◇韓国、対策はあるか

業界ではとばっちりを受けないようにするなら日本の先例を振り返らなくてはならないとの声が出ている。日本はすでに15年前にレアアースで苦境に立たされた。2010年に東シナ海の尖閣諸島(釣魚島)周辺海域での衝突事件後にレアアース輸入が途絶えた日本は、オーストラリアやベトナムなど輸入先を多角化し脱中国を試みた。

韓国は昨年レアアース金属の79.8%、レアアース化合物の47.5%を中国から輸入した。この機会に韓国も中国の手中から抜け出なければならないという見方がある。韓国はレアアース保有国ではないが、海外鉱山の権益確保、代替品開発などを通じて対中依存度を下げられるということだ。

もちろん現実は容易でない。今回の措置は2010年に中国が日本に加えた禁輸措置よりさらに多層的で範囲も広く代替ルートを探すのが容易でないためだ。レアアース開発の特性上、直接開発するまで数年の時間がかかる点も障害だ。生産しても精製の90%を中国で担当している現在の構造を打破しにくい。シドニー工科大学のマリーナ・ユエ・チャン准教授は「中国が数十年間構築した統合システムを5~10年で再現するのは非現実的」とした。

韓国では「米中対立解消を待つしかない」という自嘲混じりの声も出ている。ある半導体業界関係者は「先端半導体を作るための相当数の装備は海外から輸入し、さらに世界トップ装備会社5社のうち3社は米国企業。企業のレアアース備蓄分がなくなる前に米中対立が緩和されなければ韓国半導体企業にも影響が出るほかないだろう」と話した。

2025/10/28 12:02
https://japanese.joins.com/JArticle/340299

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