韓国「関税で最悪回避」も…米投資決定権、半導体関税の未完が物議

投稿者: | 2025年10月31日

 米国との関税交渉の妥結について、経済界は不確実性が解消されたと歓迎しており、専門家の間でも「最悪は回避された」と評価されている。しかし巨額の現金投資の決定権は基本的に米国にあるうえ、半導体の品目関税が「未完」となっているため、物議はおさまらない見通しだ。

 専門家たちは30日、3500億ドル(約500兆ウォン)のファンドのうち2000億ドルについては年間200億ドルを10年間にわたって分散投資し、1500億ドルは韓国主導で造船協力事業に投資するという政府の説明について、外国為替市場に対する懸念を払拭したと評価している。対外経済政策研究院のキム・ヨングィ先任研究委員は、「比較的善戦したと評価する」として、今回の合意には企業の対米投資を支援する役割も期待できると語った。大邱大学のキム・ヤンヒ教授(経済金融通商学)は、「(外国為替市場の安定の維持という)必要条件の部分では、最悪のシナリオは回避した」としつつ、「商業的合理性」についても「日本よりは少し良い案を持ってきた部分は、慎重に肯定的に評価しうる」と述べた。韓国貿易協会のハン・アルム首席研究員も、「韓国との協力が必要だったため、米国もある程度譲歩したとみられる」と分析した。

 このような評価の背景には、前日に大統領室のキム・ヨンボム政策室長がブリーフィングで「商業的合理性」保障装置を設定したと語ったこともある。キム室長は「投資額を十分に回収しうるキャッシュフローが保障」されると判断しうる事業のみを行うことを韓米は了解覚書(MOU)に明示すると述べた。また、元利金の回収までは韓米が利益を5対5ずつ配分し、20年以内に元利金が全額回収できなければ収益配分比率の調整が可能だと説明した。

 しかし、大統領室が当初語っていた規模に比べ、現金投資は大幅に増えた。キム室長は7月30日に韓米が大枠で合意して以降、現金投資の割合は「5%未満だろう」と述べていた。最終的に妥結した現金投資の割合は57%で、その10倍を上回る。トランプ大統領の任期が終わる2029年1月までに5500億ドルを投資する日本とは異なり、10年にわたる現金投資で負担は軽減されたというが、次期政権に負担が引き継がれるという問題もある。

 投資先の決定を主導するのが米国であることも、限界として指摘されている。キム室長は、米国のラトニック商務長官が投資委員会を、キム・ジョングァン産業通商部長官は協議委員会を率いると明かしている。日米のMOUには「投資委員会は米国大統領に投資先を推薦する前に、両国が指名した人々で構成される協議委員会と協議しなければならない」とある。韓米もこれを準用すると、韓国側は意見表明程度にとどまるとみられる。

 韓国企業がどれほど参加するかも課題だ。先日のトランプ大統領の訪日結果を示したホワイトハウスのファクトシート(説明資料)には、10社あまりの日本企業が次世代原子炉などのエネルギー分野を中心に約4000億ドル規模の対米投資の意向を表明した、との内容がある。韓国政府としては収益性を確保すると同時に、国内企業の参加拡大のために米国と綱引きをしなければならない状況にある。

 半導体の品目関税の引き下げが今回の合意に含まれていないことも、懸念材料だ。キム室長は、台湾より不利でない待遇を受けることになったと語るにとどまっている。これは、半導体の品目関税率は相互関税率(15%)を超えないとの約束を米国から取り付けた欧州連合(EU)や、最恵国待遇を受けることになった日本とは異なる点だ。現在は50%となっている鉄鋼関税が交渉のテーブルに載らなかったことも、限界のひとつだ。

2025/10/30 22:54
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/54597.html

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