アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議期間中に開かれた韓米首脳会談と関税交渉、韓中首脳会談だけでなく、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長と現代自動車の鄭義宣(チョン・ウィソン)会長、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)によるチキン店での会合まで…。先週は韓国の産業界も悲喜が分かれた「スーパーウィーク」だった。
韓国の産業全般に影響を及ぼしたハイライトは先月29日の韓米関税交渉の最終妥結だった。両国が相互関税15%を維持し、韓国製自動車と部品の対米輸出関税は25%から15%に引き下げる内容が核心だ。
EY韓英産業研究院のクォン・ヨンデ院長は交渉について「輸出リスクを部分的に緩和し、通商交渉を通じて安全保障協力を引き出し、産業政策と通商政策の連係を強化できた」としながらも「関税リスク終了と受け止めるより今後の後続交渉結果をモニタリングして対米輸出競争力を最大化する戦略を再点検しなければならない」と診断した。
現代自動車は関税交渉で最大の恩恵を受ける企業に選ばれる。鄭会長が交渉直後に「国から大きな助けを受け、恩を必ず返したい」とするほどだった。ナイス信用評価は現代自動車グループの関税費用が関税率25%で8兆4000億ウォン、15%に下がる場合には5兆3000億ウォンと試算した。交渉最終妥結により関税負担が年間3兆ウォン以上減る見通しだ。
ここに鄭会長とフアンCEOとのサプライズ会合後にエヌビディアとフィジカルAI(物理的に作動する人工知能)協力発表まで引き出して期待以上の成果を上げた。現代自動車の株価は先月31日に前営業日比9.43%急騰し52週高値を更新した。現代自動車だけでなく、撤退説に苦しめられた韓国GMや自動車部品業界も安堵した。
韓国政府が主要競合国である台湾と比較して「不利でない水準」の関税が適用されると発表しただけにサムスン電子やSKハイニックスなど半導体業界も肯定的だ。エヌビディアとAI半導体協力を引き出して14兆ウォン規模のグラフィック処理装置(GPU)26万枚(政府5万枚、企業21万枚)を先取りしたのもスーパーウィークの成果だ。ただ半導体は米中対立の中で輸出規制リスクが相変わらずだ。
これに対し既存の関税50%をそのまま維持したポスコや現代製鉄など鉄鋼業界は端境期が続く見通しだ。鉄鋼は輸出で米国市場が占める割合が15%に達する。徳成(トクソン)女子大学国際通商学科のペク・チョルウ教授は「他の国も50%の関税を適用されるが、競合国である日本はUSスチールを持っており事情が異なる。米国への鉄鋼輸出が当分難しいだけに政府が違う形の支援策を考えなければならない」と話した。
何より韓中首脳会談を契機に「限韓令」の解除を期待したが、結局解かれなかった。ロッテと新世界などショッピング・免税店業界、大韓航空と格安航空会社(LCC)など航空・観光業界、アモーレパシフィックとLG生活健康など韓国コスメ業界が残念に感じる部分だ。
2025/11/03 07:54
https://japanese.joins.com/JArticle/340508