高市首相「台湾有事で集団自衛権の行使可能」…メディア・政界も懸念

投稿者: | 2025年11月10日

 日本の高市早苗首相が、台湾有事の際に自衛隊の集団的自衛権の行使が可能な事例について具体的に言及したことをめぐり、「危険な発言」だとする指摘が相次いでいる。国内の保守支持層を意識した軽率な発言が、実際の外交・軍事的緊張につながりかねないという懸念が出ている。

 日本経済新聞は9日、「高市早苗首相が7日、台湾が武力攻撃を受けた場合は日本が集団的自衛権を行使できる『存立危機事態』にあたる可能性が高いと国会で明言した」としたうえで、「台湾有事下での対応を示し、中国への抑止力を高める思惑がある。国会のような公式の場で議論すれば緊張を高めかねないとの懸念の声もある」と指摘した。

 高市首相は7日、衆議院予算委員で中国の台湾侵攻の可能性に関する質問に対し、「台湾が武力攻撃を受けた場合、日本が集団的自衛権を行使できる『存立危機事態』にあたる可能性が高い」と答弁した。「存立危機事態」は、日本が直接軍事攻撃を受ける「武力攻撃事態」とは異なる概念で、2015年に制定された安保関連法で初めて提示された。同盟国などが武力攻撃を受けた影響で、日本の領土や国民の生命に対して明白に危険となる場合、政府はこれが存立危機事態に該当するかを判断し、集団的自衛権行使を容認できるようにした。例えば、中国による台湾侵攻の過程で米軍が攻撃を受け、日本がこれを「存立危機事態」と認定した場合、自衛隊が中国を相手に参戦する根拠となる。

 この日も高市首相は「中国の台湾侵攻の過程での海上封鎖」を仮定した野党議員の質問に、台湾海峡などに「海上封鎖を解くために米軍が来援すれば、それを防ぐために(中国による米軍への)なんらかの武力行使が行われることが想定される」として、「(中国が)戦艦を使い、武力行使も伴うものであれば、どう考えても日本の『存立危機事態』になり得る」と述べた。これに対しては、質問した立憲民主党の岡田克也議員も驚いた表情で「軽々しく『武力行使』と言うべきではない」と指摘した。

 日本メディアは、首相の過激な発言が国会で公開されるだけでも中国を刺激し、安全保障を脅かす恐れがあるとして、一貫性のない外交原則と保守支持層を意識した突出した発言だと非難している。実際、過去の日本の首相は周辺国を刺激しないために「存立危機事態」に言及する際にはあいまいさを保っていた。昨年2月に岸田文雄首相(当時)が「台湾有事」に関する質問に対して、「いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、個別具体的な状況に即し情報を総合して判断することとなるため、一概に述べることは困難」と述べたのがその典型例だ。

 高市首相のこのような発言は、政府内でも調整されていなかったことが分かった。朝日新聞は「高市首相のこの日の答弁はこうした従来の政府見解を踏み越えたものだ」としたうえで、外務省幹部は「事前に事務方が用意した答弁ではなく、首相自身の考えとの見方を示す」と報じた。小泉進次郎防衛相も同様に、「このケースだからこの事態ということを明らかにすれば、相手は手の内を見せられ、より日本に対する攻撃を容易にする」としたうえで、「具体的なケースに詳細に対応を決めておくというのは私の認識と基本的に違う」と遠回しに懸念を示した。野党でも、立憲民主党の野田佳彦代表が「歴代首相は一定程度でとどめていた話だ。国内外に影響が出てくる」として、「一人だけで先行して走っていく危険性を感じた」と批判した。主要野党は、高市首相の発言が外交や安全保障に及ぼす影響などについて、10日から国会で本格的に問いただす計画だ。

2025/11/09 20:20
https://japan.hani.co.kr/arti/international/54687.html

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