韓国外交部の趙顕(チョ・ヒョン)長官が11日、主要7カ国(G7)外相会議出席に向けカナダに向かう。今回の会議にはルビオ米国務長官も参加するだけに、まだ決着がついていない韓米安全保障分野のファクトシートと関連した詰めの議論が進められるか注目される。韓米首脳クラスで共感に至った原子力潜水艦導入問題をファクトシートにどのように反映するのかをめぐり現在米国内で追加の調整が進められており、その後韓国との最終調整も残っている状況だ。
韓国外交部によると、趙長官はこの日早朝にカンボジア出張を終えて帰国し、14日までカナダで開かれるG7外相会議にオブザーバーとして参加する。ルビオ長官との韓米外相会談や日本の茂木敏充外相まで含む韓米日外相会議が開かれるかは未定だ。
ただどんな形であれルビオ長官と会う機会がある場合、韓米間の最大の懸案であるファクトシートに対する意見交換が行われる可能性が大きい。趙長官は今回の会議で、海洋安全保障と繁栄、エネルギー安全保障と核心鉱物を議題にした拡大会議セッションでも発言する予定だ。
趙長官は6日の国会予算決算特別委員会で「国務省からの伝言は『もう少し待ってほしい』ということ。米国側でもさまざまな関係省庁間の最終確認を受けていると聞いた」と説明した。
これは国務省だけでなく国防総省、エネルギー省、商務省などがそれぞれの意見を陳述中という意味と解説される。外交消息筋は「トランプ政権になってから国務省の影響力は大きくなく、ルビオ長官も政治的理由からトランプ大統領の意向に歩調を合わせる方。さまざまな省庁が意見を出しているが結局最終決定はトランプ大統領が下すことになるだろう」と話した。
韓国大統領室高位関係者も7日に「現在は新たな問題に対する調整も概ね終えた状態。米国で意見を追加で取りまとめるのに時間がかかっている」と話した。新たな問題とは先月29日の韓米首脳会談で急浮上した原潜問題を意味するとみられる。ファクトシートはA4用紙3枚ほどの分量で、原潜と原子力協定だけでなく国防費引き上げなど同盟現代化と技術協力関連内容も盛り込まれる見通しだ。在韓米軍の役割と規模調整につながる可能性のある米国の「戦略的自律性」基調に対する両国の立場もファクトシートを通じて規定されるものとみられる。
最大の争点である原潜問題は建造場所と燃料供給方式などが核心に選ばれる。トランプ米大統領は先月30日に米国のフィリー造船所を建造場所と名指ししたたが、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は「米国で建造することは考えていない」(6日、国会運営委員会)と線を引いた。トランプ大統領は韓国の原潜を自国の造船業復興案のひとつと考えているようだが、フィリー造船所は放射能遮蔽施設など基本インフラが不足しており適合していないとの指摘が出る。
韓国政府は船体と原子炉は国内で製作し燃料である濃縮ウランは米国から持ってくる案に重きを置いているが、具体的な燃料供給方式もまた争点になる恐れがある。原子力の軍事的活用を禁止する現行の韓米原子力協定の限界を補完するための新協定締結の必要性も政府は検討している。これとは別に産業的側面で韓国の濃縮・再処理権限拡大に向けた原子力協定改正議論が必要という方向性もまたファクトシートに反映される予定だ。
ただ原潜の燃料確保に向けた原子力の軍事的利用議論と産業的側面での現行の原子力協定改正議論が入り乱れて議論がスムーズでなくて混乱しているとの懸念も出ている。慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「政府はまず現行の原子力協定の枠組みの中で韓国が独自に20%未満の低濃縮ができるルートを開くことに交渉力を集中すべきだった」と指摘した。
2025/11/11 16:49
https://japanese.joins.com/JArticle/340895