日本の高市早苗首相の「台湾有事は日本の存立危機事態」発言に中国政府が強く反発し、自国民に日本訪問の自制を求めている中、中国では日本への団体旅行の取り消し、旅行会社による日本商品の削除などの事例が相次いでいる。日本の旅行産業への打撃が可視化している一方で、韓国は中国において日本に代わって最も人気のある海外旅行先となっている。
中国メディアの澎湃などは18日、中国各地で日本への団体旅行のキャンセルが相次いでいると伝えた。上海を基盤とするある旅行会社の関係者は、日本行き団体観光のキャンセル率は60%を超えており、航空券のキャンセルも多いと澎湃に語った。中国外務省や文化旅行局などの関連当局の訪日自制令が14日から相次いでいることを受け、中国の旅行会社は、日本旅行をキャンセルする場合は全額を払い戻すことなどを案内している。高市首相は今月7日の衆議院予算委員会で、中国の台湾侵攻の可能性に関する質問に対し、「武力攻撃が起きれば(日本の)『存立危機事態』に当たる可能性がある」と述べた。「存立危機事態」とは、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃を受けることで日本の存立が脅かされ、集団的自衛権が行使できる事態を指す。中国の侵攻を想定した台湾有事を日本の存立危機事態と規定する行為は、台湾を中国の領土と考える「一つの中国」原則を傷つけるものだとして、中国は強く反発している。
多くの中国の旅行会社は、日本商品の販売を停止している。中国のある大手旅行会社の担当者は中国官営のグローバル・タイムズに、自社の日本行き団体旅行やビザ発給商品などをすべて削除したと語った。この旅行会社は、それらの商品をすでに予約している人がキャンセルを希望する場合、全額払い戻しを請求できるようにしている。別の旅行会社の関係者も、「当社は関連省庁の政策と指針に従う」とし、「日中関係の緊張状況を考慮して、日本旅行は推薦していない」と語った。旅行会社のリュ・ロンヨウ(6renyou)代表は「私たちは日本行き商品の宣伝を停止した。アラブ首長国連邦、シンガポールなどに焦点を合わせて商品のポートフォリオを調整している」と語った。
中国人にとって日本は最も人気のある旅行先だったが、韓国がその空白を埋めている。澎湃は、中国最大の旅行プラットフォーム「Qunar」のデータを引用し、決済ずみの航空券の数をもとにすると、先週末(15、16日)に韓国が人気の海外旅行先の1位となったと報道した。航空券の検索数でも韓国が最多だった。タイ、香港、マレーシア、シンガポールなどが韓国に続き、航空券予約で上位を占めている。Qunarビッグデータ研究所のヤン・ハン研究員は、「一部の日本旅行予定者が他の目的地に変更したことで、旅行先の選択が多角化している」として、「韓国は現在、日本に代わって最も人気のある海外旅行先となっている」と説明した。日本の民間研究所、野村総研でエグゼクティブ・エコノミストを務める木内登英さんは、中国人の訪日が急減すると、日本の国内総生産(GDP)が0.36%減少し、損失額は2兆2000億円(約20兆8000億ウォン)に達すると推定している。
2025/11/18 11:49
https://japan.hani.co.kr/arti/international/cn_tw/54758.html