日清戦争と陰うつな予感【コラム】

投稿者: | 2026年1月19日

 伊東祐亨司令官(1843~1914)が率いる日本の連合艦隊が、あれほど探し求めていた清の北洋艦隊と遭遇したのは、平壌の戦いが終わってからわずか2日後の1894年9月17日のことだった。前日の午後5時ごろ、黄海道長山串(チャンサンゴッ)周辺の停泊地を出発した連合艦隊は、北西に位置する海洋島に向けて進み、午前10時23分、北東の水平線に相手側の艦船が吐き出す黒煙を発見した。互いに存在を確認した両艦隊は、鴨緑江河口付近の海域で、近代海戦史に長く残る決戦へと突入した。この戦いで勝利する側が黄海の制海権を確保し、最終的には朝鮮半島を手中に収めることになる場所だった。相手に向かって突進した北洋艦隊の旗艦である定遠(排水量7335トン)が午後12時50分ごろ、約5800メートル離れた連合艦隊の艦船の吉野(4216トン)に向けて、30.5センチ主砲で最初の砲撃を加えた。黄海海戦が始まった瞬間だった。

 実際に戦闘が始まるまでは、当時東洋最大の戦艦の定遠と鎮遠を備えた北洋艦隊が優勢だとする予想が多かったが、現実は違った。翌年自殺して生涯を終える丁汝昌(1836~1895)の北洋艦隊が、船体を横一列に並べた後、一斉に敵に突撃する「横列陣」(line abreast)を採用したのに対し、連合艦隊は艦船を縦一列に並べる「単縦陣」(line ahead)を選んだ。勝負を分けたのは船の速度だった。坪井航三が率いる先頭4隻で構成された遊撃隊が高速で北洋艦隊の正面を突破し、右側に大きく旋回することに成功したことで、勝負が決まった。これにより、北洋艦隊の最右翼に位置した楊威と超勇は、戦闘開始後30分で相手側の集中砲火を受け、最終的には沈没した。戦闘能力を失った北洋艦隊は、司令部がある山東省威海衛に閉じこもることになる。

 中国人はこの戦いをどのように記憶しているのだろうか。習近平国家主席は2018年6月12日、旧北洋艦隊司令部を訪問した後、「厚くて重い歴史の扉を開き、戦争が与える警告と教訓を理解できた」と述べた。どういう意味なのだろうか。大東文化大学の鈴木隆教授の力作『習近平研究:支配体制と指導者の実像』(2025)によると、習主席は2017年5月、海軍の大校(大佐と准将の間の階級)以上の高級将校を集めて次のように述べた。私は甲午戦争(日清戦争)の例について何度も言及した。北洋艦隊の全滅によって、わが国の海を守る門が壊されると、侵略者たちが自由に出入りするようになり、われわれの領土を侵略・占領した。その後に締結された馬関条約(下関条約)によって、朝鮮に対する日本の統治を承認し、遼東半島、台湾島、澎湖列島を割譲した。台湾問題は実際にこの時から禍根が植え付けられることになったのだ。この歴史は心の奥に傷を残した問題だ。

 問題は、このような「歴史的トラウマ」を抱えた中国が、今後形成しようとする国際秩序の姿だ。2013年3月に中国のトップになった習主席は、「中華民族の偉大な復興」という一貫した国家目標を提示してきた。そして、この「偉大な復興」の具体的な姿は、おそらく、東アジアの国際秩序を「日清戦争以前」に戻すことなのだろう。そのためには、台湾を吸収して「統一」を達成し、過去の属邦だった朝鮮(朝鮮半島全体)を再び中国の勢力圏内に編入させなければならない。だからこそ、習主席は2017年4月6~7日、生まれて初めて顔を合わせた米国のドナルド・トランプ大統領に「韓国は事実上、中国の一部だった」という「極言」を口にしたのではないか。東アジアの歴史についてあまり詳しくなかったトランプ大統領でさえ、数日後の12日、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「10分ほど話を聞いて、私はこれが容易ならざる問題であることに気づいた」という反応を示すことになる。

 結局のところ、「歴史の正しい側に立て」という習主席の5日の注文は、決して軽く見過ごせる話ではない。いつの間にかG2と呼ばれるようになった米中が、太平洋を分割する「グランド・バーゲン」を決行するのであれば、自分たちの歴史的トラウマを克服しようとする中国人の情念と、民主国家の市民であり自分たちの人生を切り開いてきた韓国人のアイデンティティが、正面衝突することになる。抵抗すれば、現時点で日本が受けているものより、はるかに深刻な侮辱に耐えなければならないだろう。李在明(イ・ジェミョン)大統領の今回の訪中・訪日は大成功だったが、東アジア全体が、19世紀末のような殺伐とした「不確実性の時代」に突入しつつあるようにみえる。この奇妙な感情は、ひとまず「陰うつな予感」という言葉で表現しておく。

2026/01/15 18:31
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/55217.html

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