サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が昨年初めに続き今年も年明けから2年連続で「危機論」を持ち出した。昨年は半導体業績不振の中で「死即生」の覚悟を促したとすれば、今年は人工知能(AI)発の半導体超好況が予想される中で、慢心を警戒し技術開発にまい進しなければならないという警告メッセージだった。それもより辛口で強烈な「直説話法」だった。
韓国財界によると、サムスングループは20日から京畿道竜仁(キョンギド・ヨンイン)のサムスン人材開発院で役員を対象としたセミナーを進めている。来月末まで2000人以上の系列会社役員を呼び出し「精神再武装」を強調する席だ。昨年は「サムスンらしさ復元に向けた価値教育」というテーマで開かれた。
参加者は昨年よりも質問がさらに執拗になり、内容もより具体的に変わったと雰囲気を伝えた。特に「いまうまくいっていると錯覚するのをやめよう」という水準の直接的な問題提起があったという。教育に参加したある役員は「『29日にSKハイニックスが、30日にはアップルが経営実績を公開する』という話を聞いた時、(半導体とスマートフォンの)連続で打撃を受けかねないとの懸念が出てきた。講義場の雰囲気は一言で『いまサムスンがうまくやっていることはひとつもない』だった。静寂が続く中で緊張そのものだった」と話した。
「基本技術を確保した米国、恐ろしい勢いで追い上げる中国の間でわれわれは事実上遅れている」という指摘も入れられた。実際に教育映像には李健熙(イ・ゴンヒ)先代会長(故人)が2007年に言及した「サンドイッチ論」が召還された。米国と日本の技術に押され、中国の価格攻勢に押されて立つ場所を失いかねない構造を指摘したものだ。AI時代には中国の進撃がさらに恐ろしいという認識も背景にある。
組織文化刷新の必要性に対する直接的な指摘も続いた。例えばた▽品質問題を知りながらも慣行的に目をそらす雰囲気ではないか▽失敗を恐れて挑戦をためらっていないか▽AI技術を保有しても活用度はなぜこのように低いのか、などだ。役員の間では、中国TCLと日本のソニーが合わさればサムスンの「20年連続テレビ1位」の座を奪われるのは時間の問題だ、(SKハイニックスと比べ)自分たちが本当に1位なのか、第6世代広帯域メモリー(HBM4)ではリードできるのか、などという話が飛び交ったという。
李会長のメッセージは第三者がナレーションする方式で伝えられたという。参加した別の役員は「映像を通じて『数字(実績)に酔うな。慢心を警戒せよ。競争力を回復できる最後の機会』という李会長の現実認識が共有された」と話した。サムスン電子関係者はこれに対して「事実上李会長の新年辞と受け止める雰囲気」と話した。今月初めに開かれた社長団夕食会も重い雰囲気で終え、「過去最大の業績に陶酔してはならない」という念押しが出てきたという。
メモリー競争力に力づけられサムスン電子は今年過去最大となる100兆ウォン台の営業利益を収めると予想される。だが「AI半導体」と呼ばれるHBMの技術力でSKハイニックスに遅れをとり、「半導体超格差」の主導権を渡したと評価される。ファウンドリー(半導体委託生産)は昨年市場シェアが7%にとどまった。世界1位のTSMCの70%と格差が10倍に広がった。今年の営業利益100兆ウォンの見通しはAIブームにともなう「錯視」であり、根本的な体質改善が必要だという李会長の警告が出てきた背景だ。
ソウル大学のソン・ジェヨン客員教授は「全永鉉(チョン・ヨンヒョン)サムスン電子半導体部門長(副会長)が『反省文』を書くほど危機に陥ったサムスンの昨年の業績はAI業況のおかげだった側面がある。技術超格差回復、官僚主義克服など構造的課題は相変わらずの状況で切迫したメッセージを出したもの」と評価した。カトリック大学のキム・ギチャン名誉教授は「これからは数字を超え人と組織の創意性をどれだけ引き上げるかがカギ」と強調した。
2026/01/26 07:41
https://japanese.joins.com/JArticle/343877