「心配が現実になるのか」。
昨日(27日)、トランプ米大統領が自身のトゥルース・ソーシャル(SNS)に「韓国産自動車などその他すべての相互関税を15%から25%に引き上げる」と投稿したことを聞いた後、真っ先に思ったことだ。昨年7月末、米国との関税交渉が当初の心配より良好な15%で妥結すると、具潤哲(ク・ユンチョル)副首相ら通商交渉チームと金容範(キム・ヨンボム)政策室長は「韓国が提案した1500億ドル(約23兆円)規模のMASGA(米国の造船業を再び偉大に)プロジェクトがトランプ大統領を動かして有利な結果を引き出した」と自画自賛した。「関税交渉のゲームチェンジャー」(呂翰九通商交渉本部長)にとどまらず、韓国造船業に新たな成長の機会が開かれるというバラ色の見通しも出てきた。簡単にいうと、米国が必要とする造船業の競争力は我々にあるため、我々が主導権を握っているというニュアンスだった。そして1カ月後のワシントンでの韓米首脳会談で李在明(イ・ジェミョン)大統領はこのMASGAプロジェクトを核心議題として取り上げ、トランプ大統領は「韓国が米国で米国の労働者と船を建造する」と述べた。韓米造船同盟への期待感からハンファオーシャンなど国内造船3社の株価は急上昇した。
ところが政府と国民のこうした希望とは違い、造船3社はもちろん学界からは全く違う声が出てきた。「響かない言葉」(イ・シンヒョン・ソウル大教授)、「米造船業保護法のジョーンズ法の改正などがなければむしろ足かせになる」という警告が続いた。ソウル大造船海洋工学科出身で、16年間にわたり韓国と欧州・中国で船(軍艦エンジン生産設計)と造船所(中国山東省威海三進造船)を構築した経験を持つクォン・ヒョジェCOR知識グループ代表(49) もその中の一人だ。最近の著書『K-造船大転換 造船業の胎動からMASGAプロジェクトまで』で韓国造船業の競争力を強調したクォン代表はなぜ「(トランプ大統領の韓国造船業必要・協業発言は)リップサービス」と意味を縮小するのか。トランプ大統領の関税引き上げ奇襲通知の2日前の25日日曜日午後、クォン代表に会って楽観論に隠れて我々が見逃している点を尋ねた。以下は一問一答。
Q:MASGAプロジェクトの何を心配しているのか。
A:韓国造船に莫大な損失をもたらした2012年の海洋プラントの苦痛がまだ記憶にはっきりと残っている。私の経験から話す必要がある。中国の造船所(韓国資本の三進造船)で勤務していたが、2012年春に最初の職場だった大宇造船(現ハンファオーシャン)に呼び戻され、その後は造船でなくエネルギー(主にLNG)開発業務を担当した。造船所で勤務していた頃、グローバルエネルギーメジャー(オイルメジャー)がいったいなぜ我々に船を発注するのかいつも気になっていた。実際、米国・欧州を行き来しながら、そのエネルギー企業とジョイントベンチャーで共に事業開発をしてみると、漠然と知っていたものとは完全に違っていた。韓国造船は優れた品質、低コスト、迅速な納期が競争力だ。それは事実だ。当時、品質・原価・納期が優秀なら注文をすべて受けられると洗脳されてきたが、決してそうではなかった。時には費用が高くても選択し、さらに(品質が)良くなくても買う。彼らの視点で造船業そのものの競争力は小さな一部にすぎない。大きく眺めているのだ。地政学的なイシューや資本市場の要求など未来の不確実性を考慮した複合的な意思決定をする。このメカニズムをあらかじめ理解していれば、韓国造船が2012年の海洋プラントにオールインして莫大な営業損失を出すことはなかったはずだ。
Q:シェールガスの影響のことか。
A:そうだ。当時は原油価格が高かった。エネルギー企業は(高い費用がかかっても)海洋石油開発をするのが明らかであり海洋プラント市場が大きく開かれると考え、国内造船企業は大規模な投資をした。日本とシンガポールは韓国とは逆に動いた。振り返ってみると、我々は米国でのシェールガス生産急増がエネルギー市場全体をどう動かすかについて戦略的思考をしていなかった。日本はそのような大きな流れを読む情報があった。※2014年頃、グローバルメジャー企業は新規発注を取消または延期し、国内ビッグ3に10兆ウォン以上の営業損失が生じた。
Q:MASGAプロジェクトが海洋プラントの繰り返しになるということか。
A:知らずにそうなる前に解決方法を探そうということだ。トランプ大統領が「韓国が必要だ」「韓国造船と協業する」というのはリップサービスだ。トランプ大統領の接近法は典型的な不動産ディベロッパーの話法だ。ひとまず良い絵を投げておいて重要な話は後でする。最初の発言を信じて意思決定をしてはいけない理由だ。この脈絡で重視するべきことは大きく3つある。1つ目、議会予算が配分されるのか。2つ目、米国が本当に船を発注する準備(組織と世論、法案)ができているのか。3つ目、これをすべて満たして船を建造すれば我々の収益になるのか、儲けがあるのか。国民は今、韓国政府が米国と緊密に議論中と思っているだろうが、果たしてそうだろうか。核心は米議会の予算編成だが、現在は不透明だ。1500億ドルという莫大な資金を投入しても、米国の造船業を偉大にするだけで、我々には何も残らないことも考えられる。ジョーンズ法や韓国技術者を米国造船所に送るためのビザ解決など法案問題も、米中間選挙を控えて該当地域の労働組合の反発などのため迅速には進んでいない。逆に昨年末、下院で関連項目がすべてカットされた。このような状態でプロジェクトが始まれば我々には足かせとなる。
※著書でクォン代表は米海軍と長く協力して韓国より先を進む日本の慎重さに注目するべきだと指摘した。また、2008年に米国に進出して米軍艦を建造しながらも収益がなく苦戦するイタリア造船企業フィンカンティエリの事例も挙げた。苦労だけして損をするリスクに対する警告だ。韓国だけができるために米国が韓国に手を差し出したのではないということだ。
2026/01/28 15:30
https://japanese.joins.com/JArticle/344058