メキシコ料理がウォール街を占領している。中東情勢悪化初期だけでも市場はトランプ米大統領が結局退くだろうとして「TACO(トランプはいつもビビって逃げる)」が流行したが、近では「NACHO(Not A Chance Hormuz Opens)」という新たな流行語が登場した。「ホルムズ海峡が再開される可能性はない」ということだ。
米CNBCは10日、「NACHOは市場が短期間で中東情勢が解決される可能性に対する希望を失っているという意味」と報道した。NACHOはブルームバーグのコラムニスト、ハビエル・ブラス氏がウォール街のトレーダーの間で使われる表現を初めて紹介して急激に広まった。
市場は過去に中東リスクが発生するたびに「結局早期に決着するだろう」という前提で動いた。だが今回は雰囲気が異なる。停戦の期待が出ても原油価格は容易に鈍化せず、海上運賃と保険料もやはり高い水準を維持している。市場が戦争の長期化を予想しているのだ。
TACOは「トランプは結局退く」と解釈されたが、NACHOは違う。ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマン氏は最近交流サイト(SNS)を通じ「もともとTACOには同意していないが、NACHOは正しいと考える。ホルムズ海峡は経済的被害がはるかに深刻化するまで簡単に開かれないだろう」と評価した。
市場もこうした雰囲気を反映する。国際原油価格の基準となるブレント原油は依然として1バレル=100ドル水準を維持している。ホルムズ海峡を通過する船舶の戦争リスク保険料もやはり急騰した。世界的格付け会社S&Pグローバルによると、戦争前には船体価値の0.1~0.15%水準だった追加戦争リスク保険料が3月初めには2.5%まで上がった。
実体経済指標も揺れる。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟国の3月のエネルギー物価上昇率は前年比8.1%を記録した。前月のマイナス0.5%と比べ上昇率は1カ月ぶりに8.6ポイント上がった。これは1971年以降で3番目に大きい上昇幅だ。
市場では戦争が終わってもエネルギー需要が簡単に鈍化しない可能性に注目する。各国がエネルギー安全保障次元から戦略備蓄拡大に出るとみられるためだ。米経済誌フォーチュンは、「3月1日から先月25日まで世界の石油在庫は1日約480万バレルずつ減り、国際エネルギー機関(IEA)の集計で四半期としては過去最大の減少幅を塗り替えた」と伝えた。
中央銀行の動きも変化している。最近オーストラリア中央銀行とノルウェー銀行はエネルギー発の物価圧力を理由に利上げに出た。先月金利を据え置いた欧州中央銀行(ECB)と日本銀行内部でも緊縮の可能性が議論される。米国もやはり利下げの期待が急速に後退する様相だ。
ただまだすべての市場がNACHOを受け入れたのではない。原油、保険、債券市場は長期衝撃の可能性を反映しているが、米国の証券市場は依然として過去最高値付近だ。一方では交渉は行われるというTACO式楽観論が生きているという意味だ。世界的資産運用会社のステートストリートは最近の報告書で「TACOとNACHOトレードが4-6月期に同時に繰り広げられる。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が再び生き返るためには具体的な終戦合意が必要だ」と強調した。
2026/05/11 06:45
https://japanese.joins.com/JArticle/348843