【コラム】米消費者の前に堂々と置かれたトランプ氏の「関税請求書」

投稿者: | 2026年5月25日

「関税費用10%」。米ワシントンの日本食レストランのメニューに、こんな文言が書かれたステッカーが貼られていた。事情を尋ねると、日系の店主はたどたどしい英語で「関税のせいで仕方なかった」と話し、繰り返し「すみません」と口にしていた。

同席していた経済専門家は、「当然の流れだ」と語った。彼は、「関税は米国の富を略奪してきた国々が負担することになる」というドナルド・トランプ大統領の主張は、最初から嘘だったと強調した。その上で、現在進められている関税還付で、誰が利益を得ているのか注目してみるべきだと話した。

 今年2月、米連邦最高裁が相互関税を違法と判断して以降、関税還付が進められている。米消費者が、トランプ政権による「違法関税」によって追加で支払っていた金だ。ところが、ジェイミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表は、消費者の財布から出た還付金を企業の「思いがけない利益」だと表現した。スコット・ベッセント財務長官は、さらに「消費者はこの金を見ることはない」とまで線を引いた。

ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授は、「違法だと分かっていながら課した関税は、消費者を欺いて企業に利益を与えるシステムだ」と評価した。その上で、「10%のグローバル関税はもちろん、その後に課される関税も違法となり、判決後には再び米国民を搾取する手段になるだろう」と付け加えた。

今月12日、トランプ氏は、イラン戦争による原油価格上昇に関連し、「米国民の家計事情が交渉の要因になるのか」との質問に、「全く違う」と答えた。そして、「重要なのはイランが核兵器を持てないようにすることだ」と強調した。イランの核保有を阻止するため、米国民の「小さな犠牲」を受け入れて下した決断だという主張だ。しかし、この言葉を額面通りに受け取るのは危険だ。

トランプ氏は、戦争初期にホルムズ海峡封鎖によって原油価格が上昇すると、「米国企業が大金を稼ぐことになる」と述べ、むしろ歓迎していた。そして、前回大統領選で彼を支援した世界的製油会社は、サプライズ決算を発表した。その多くは、消費者が追加で支払った金だ。製油会社は、ガソリン価格を原油先物価格に連動させて引き上げ、1ガロン(約4.54リットル)当たり2ドル台後半だった平均ガソリン価格は4.5ドルを超えた。

投資会社は、11月の選挙前まで「トランプ氏のショータイム」が本格化するとの報告書を出している。悪化した世論を覆すため、ワールドカップなどによる消費特需を活用し、株価浮揚の「錯視効果」を生み出すとの見通しだ。しかし、人為的な短期景気刺激策は、必然的にインフレなど「未来への請求書」として返ってくる。ただ、その請求書は、再選を気にする必要のないトランプ氏ではなく、次期大統領が座るホワイトハウスの「決断の机」に置かれる可能性が高い。

カン・テファ/ワシントン特派員

2026/05/25 11:53
https://japanese.joins.com/JArticle/349538

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