韓国の「家計負債比率」一息ついた? 依然として世界最高水準

投稿者: | 2024年6月10日

 韓国銀行による国民会計基準年の変更で国内総生産(GDP)に対する家計負債の比率が低下したことで、「100%」を一種の政策目標としていた政府の負債管理基調にも変化が起きるかが注目される。ただし絶対的な数字は下がったものの、他国と比べると依然として家計負債比率は高い水準にあることから、大きな変化はないとみられる。

 昨年末の韓国の家計負債比率は、国民会計統計の基準年の変更に伴い、従来の100.4%から93.5%へと低下した。企業の負債比率も122.3%から113.9%へと下がった。国税統計などの新たな行政情報を用いることで、これまでの韓国銀行の調査では捉えられていなかった経済領域が新たに捕捉され、各種の健全性指標の母数となるGDPが増えたことによるものだ。

 これまで家計負債比率100%は、経済政策において一種の基準点とされてきた。韓国銀行や政府は、家計負債の絶対的な水準よりも増加スピードに留意すべきと強調しながらも、象徴的な数字として100%に注目してきた。韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は昨年、国会に出席した際に「家計負債の総量がGDPに対して100%未満に低下するよう努力するという政府と韓国銀行のコンセンサスがある」と語っている。

 だが、統計基準年の改編のみで家計負債比率は100%以下へと低下。過去最高値を示した2021年の家計負債比率も従来の105.4%から98.7%へと低下したため、今まで家計負債比率が100%を超えたことはないことになったわけだ。

 ただし、依然として韓国のGDPに対する家計負債の比率は世界で最も高い水準にある。国際金融協会(IIF)の統計によると、韓国の昨年末の家計負債比率は米国(72.8%)、日本(64.1%)、ユーロ地域(54.1%)などと比べてはるかに高い。企業負債比率も香港(258.0%)、中国(166.5%)、シンガポール(130.6%)、日本(114.5%)などよりは低いが、米国(78.4%)やユーロ地域(95.9%)に比べると高い。

 金融研究院のシン・ヨンサン先任研究委員は、「一般的に、家計負債がマクロ経済に否定的な影響を与えることになる水準はGDPの80%と考える。100%以下は一次的な目標にはなり得ても、最終的には80%まで下がらなければならない」とし、「それを考慮すれば家計負債比率は依然として高い水準であり、家計負債増加率を成長率以下に管理するという既存の政策の方向性は正しいと考える」と語った。

2024/06/09 14:59
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/50261.html

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