気候崩壊の時代…無力感に打ち勝つには【寄稿】

投稿者: | 2026年8月10日

 世界気象機関(WMO)は、今年の世界気象デーに「地球の気候はかつてないほどバランスを崩している」というプレスリリースを発表した。産業革命以来、地球に過剰に蓄積されてきた温室効果ガスが生み出した余剰熱によって、気候は予測できない様相を呈する気候崩壊に至りつつあるという診断だが、今年の夏も地球のあちこちでそれが現実のものとなっている。

 6月中旬から西欧で殺人的な猛暑が始まった。大西洋高気圧(バミューダ高気圧)が異常に発達し、それがサハラ砂漠で作られた熱い空気をイベリア半島とその先へ移動させたからだ。その影響で一部の地域では気温が46度を超えた。スペインのバルセロナでも40度を上回り、新記録となった。西欧の猛暑とほぼ同時に北米西部でも、2021年に続き5年ぶりに西欧に匹敵する猛暑となり、カナダと米国で手に負えない大規模な山火事が発生した。今回の猛暑の原因も5年前と同様、南の熱い空気がジェット気流を高緯度に押し上げて生み出した「ヒートドーム」だ。猛暑は東アジアや中東、南アジア、そして北極圏でも、過去の観測記録を塗り替えるほどのものとなった。

 豪雨も驚くべきものだった。乾燥地帯の米テキサス州は、7月13日から15日にかけて年間降水量の50%に相当する約400ミリの豪雨に見舞われた。ピーク時には半日で250ミリ降り、川の水位は9メートルも上昇した。村が浸水し、100人以上の死者が出た。このような恐ろしい豪雨はバングラデシュ南東部も襲い、多くの命を奪った。東アジアも例外ではない。今年の梅雨の東京の降水量は過去最多となった。日本と韓国は狭い範囲に豪雨が集中する線状降水帯が猛威を振るい、かなりの人的・経済的被害が出た。

 地球のあちこちで発生する極端な気候現象の直接的な原因は、ジェット気流の経路の異常だ。これは地球温暖化によって低緯度海域と極地がいずれも高温化したせいで起きたものだ。温室効果ガスが生み出す膨大な熱が氷河を溶かし、土壌や大気や海洋に蓄えられる。毎年海に蓄えられる熱量(全体の約91%)は、世界全体が消費する総熱量の18倍に達する。その結果、想像もできない極端な気候、その時期にその場所では到底起こり得ない特異な気候、一日で猛暑と寒波を行き来する突発的な気候が日常となった。そのため、今や気候危機どころか気候崩壊の時代だというため息も漏れる。

 それでもなお、世界中の既得権層は膨大なエネルギーを使い、熱を発するAIデータセンターや半導体ファブを大々的に建設しようという欲望を抱き、さらに巨大な経済成長を渇望している。地球の持続可能な未来を願う気候市民は長い間、経済成長一辺倒の世の中を変えるまっとうな代案と力がないことに焦りを感じてきた。世界保健機関(WHO)も気候市民のこうした苦しみを認識し、非常に懸念してきた。

 国連人間環境会議の50周年を記念して開催された2022年にストックホルム会議で、WHOは「気候変動とメンタルヘルス」政策ブリーフィングでこの問題の深刻さを警告した。気候危機の深刻さは認識しているものの、それを止める適切な手段を持たない世界中の気候市民が、極度の精神的苦しみ、うつ、無力感にさいなまれ、身体の健康さえも破壊されていることを指摘するものだった。今、気候市民はどうすればよいのだろうか。最悪の選択は自暴自棄だ。このような時期こそ、気候市民は互いに声をかけ合い、手を取り合う努力を止めてはならない。それこそが、地球の気候を守り、私たちと私たちの子孫を守る最後のとりでである。

2026/08/09 18:45
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/56873.html

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