米国のドナルド・トランプ政権が、「米国の国益を損ない米国人にとって脅威になる」という理由で国際刑事裁判所(ICC)の解体を公言し、所属する裁判官や検察官の制裁に乗り出したことで、ICCトップの赤根智子(70)所長が見舞われる「受難」に関心が集まっている。日本が輩出した主要国際機関のトップが、最大の同盟国である米国によって北朝鮮レベルの制裁を受けることになったためだ。
米国のマルコ・ルビオ国務長官は18日、「ICCは腐敗し、致命的なほど政治化された超国家的な裁判所だ」とし、赤根所長を制裁対象に挙げた。赤根所長に加えられた制裁レベルは、北朝鮮・イラン・キューバなど米国の敵性国の人々に取られた措置と何ら変わりないという評価が出ている。
まず、当事者と家族の米国への入国が禁止される。米国内に資産があれば凍結される。これだけでなく、第三者と赤根所長の各種経済的取引も禁止される。米国が制裁対象の敵性国と取引する第三国の企業や個人まで一緒に処罰する「セカンダリー・ボイコット(二次的制裁)」を連想させるほどだ。このような措置が具体化されれば、対象者は米企業のサービスの利用やクレジットカードの使用が難しくなる見通しだ。世界各国の金融機関や企業が、米国から様々な不利益を受けることを懸念し、制裁対象者との取引を打ち切ってしまうためだ。
実際、昨年8月に制裁対象となったカナダ人のキンバリー・プロストICC裁判官は、自身が経験した出来事をインタビューで明かしたことがある。彼女は制裁直後、「アメリカン・エキスプレスのカードが機能しなくなり、他のクレジットカードも使用できなくなった」「カナダや欧州の銀行口座の一部は維持されたが、デビットカードでさえ決済できない時があり、予測が難しい」と語った。また、アマゾンのアカウントが閉鎖されて電子書籍端末「キンドル」の利用が遮断され、アマゾンの人工知能(AI)「アレクサ」が自分と会話をしてくれない、とも明かした。配車サービス「ウーバー」の利用も難しかったという。
米国はかつて、自国が積極的に関与した中東の戦争における戦犯行為をICCが調査することに強く反発し、ICCとはぎくしゃくした関係が続いていた。G7(主要7カ国)の中で唯一、ICCの存在根拠であるローマ規程に加入していない。イスラエルがハマス撃退戦において無差別に人命を殺傷したという理由で、2024年にICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する逮捕状を発行すると、米国のジョー・バイデン政権は「ICC非加盟国の国民に対する捜査は不当であり、これは米国に対する捜査に繋がりかねない」として反発してきた。昨年発足したトランプ第2期政権は、ICCに対してさらに敵対的な態度を取った。昨年6月以降、ICCの裁判官18人のうち赤根所長を含む9人が、米財務省の金融制裁対象である「特別指定国民(SDN)」リストに名を連ねた。
赤根所長を輩出した日本はICCの最大の資金拠出国であり、ICCの活動を積極的に支持してきた。このため、ICCが最近トランプ政権と極限の対立関係に置かれたことで困惑している。高市早苗首相は19日、「大変残念に思っている。今後も米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応していく」と表明した。このような発言は「苦悩の末に出た表現」であり、「日米関係に影響が生じないよう対応する」というのが日本政府の立場だ―と朝日新聞は伝えた。
2026/08/21 14:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/08/21/2026082180063.html