米財務省が設定した「2つの防衛線」が揺らいでいる。米日共同円買いと長期国債買い戻し拡大という介入にもかかわらず、円為替相場は再び160円を超え、米30年物国債利回りは5.3%に迫っている。ここに米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長まで就任後最も強い「タカ派」(通貨緊縮)メッセージを投げかけ世界の金融市場が再び緊縮発作の懸念に包まれている。
外国為替・債券市場によると、28日の円相場は1ドル=160.04円で取引を終えた。米財務省が1998年以降で初めて外国為替安定基金(ESF)を動員し日本財務省と協調介入に出て約1カ月で防衛線が再び突破されたのだ。日本政府が今年投じた1700億ドルの実弾も流れを変えることができなかった。
米財務省は20年物・30年物国債の買い戻し限度を1回当たり最小40億ドルに2倍以上増やすと発表したが、下落した30年物利回りは5.27%を超えた。米国が円防衛に出た理由は日本の米国債売りドミノを防ぐためだ。円が下落すれば日本がドルを調達するために米国債を処分し、これは米長期金利上昇と円安という悪循環につながる。
火を付けたのはFRBの通貨緊縮のシグナルだ。FRBのウォーシュ議長は28日のシンポジウムで、「基調的物価上昇率が2%目標に向かって十分な速度で動かないならばわれわれにはやるべきことがある」と述べた。個人消費支出(PCE)3.7%、消費者物価指数(CPI)3.4%など物価指標を名分に掲げた。ウォール・ストリート・ジャーナルは「(静かな基調を維持した)ウォーシュ氏が就任してから最も実質的な内容を盛り込んだ」と評価した。
シカゴ商品取引所(CME)のFEDウォッチによると、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が0.25%引き上げられる確率は35.4%から57.0%に急騰した。ただ利上げが現実化する場合、ウォーシュ氏を抜てきしたトランプ大統領との衝突も避けられない見通しだ。トランプ大統領は11月の中間選挙を控え、資産市場を支えるためFRBに公開的に利下げを要求してきた。
市場では1ドル=160円と30年物利回り5.3%の防衛ラインが崩れる場合、世界経済が揺らぎかねないと警告する。まず世界の資金調達費用がともに上昇する。また、米国の住宅・企業投資が萎縮し、高評価されたハイテク株が調整を受ける。同時に欧州とアジアの債券利回りもともに上昇し、ドル建て負債が多い新興国を中心に大規模資本流出とデフォルト(債務不履行)の危機が広がる恐れがある。
韓国経済もやはり影響圏だ。円安は世界市場で日本と輸出競合度が高い韓国の自動車、造船、鉄鋼、機械産業の価格競争力を弱めさせる。同時に高金利の長期化で世界の需要自体が鈍化し韓国の輸出にも悪材料となる。
市場専門家らは円安を戻すには米日の金利差が縮まらなくてはならず、米長期金利を安定させるには財政赤字から減らさなければならないと助言する。ウォール街の大物であるスタンレー・ドラッケンミラー氏は「ファンダメンタルズに逆らって価格を防衛する政府はいつも敗北する。変わるのはあきらめる前までどれだけ多くの金を使うかだけ」と批判した。
2026/08/31 07:19
https://japanese.joins.com/JArticle/354271