「精神疾患を家族がすべて抱え込もうとすれば、結局さらに大きな苦痛として返ってきます。私と私の家族の失敗を繰り返さないでください」
統合失調症を取り上げた日本のドキュメンタリー映画で、最近韓国でヒットしている『どうすればよかったか?』の藤野知明監督(60)。先月28日の本紙インタビューで、「精神疾患患者の家族にとって必要な優先順位第1位は、医療や福祉の前に、社会の偏見の中でもひとまず外部の助けが必要な現実を早く認めることだ」と語った。家族が病気を恥じ、あらゆる負担を背負い込もうとすれば、患者は結局医療や福祉から遠ざかり、さらなる大きな苦痛に見舞われるということだ。
統合失調症とは、現実認識や判断機能に異常が生じ、妄想や幻覚などが現れる精神疾患である。韓国でも統合失調症の患者は約25万~50万人と推計されているが、医療機関で昨年診療を受けた患者は10万5841人にとどまっている。
この映画は、医学部の学生だった24歳ごろから統合失調症の症状が出てきた藤野監督の姉と、その後25年間にわたり治療を受けさせずに彼女を自宅に閉じ込めた両親を記録に残したもので、藤野監督が実の家族を撮影している。今年7月29日に韓国で公開されて三日で独立系映画・芸術映画のヒット基準である観客1万人を超え、1カ月後の先月29日には観客9万人を突破した。日本では2024年12月に公開され、観客16万人を集めた。藤野監督は「最近は韓国でも若い層を中心に、精神疾患に対する関心が日本に劣らず大きいことを感じた」と話す。
藤野監督の姉は1983年に初めて統合失調症を発症したが、医師で研究者だった両親が娘の治療を拒否したため、25年間病院の治療を受けることができなかった。自宅だけで世話をし、後にはとうとう、外に出ようとする娘を止めるため、玄関に南京錠までかけた。藤野監督は「(姉の)精神科の診療記録を残したくなかった両親は、姉が飲むお茶にこっそり向精神薬を混ぜてみたりもしたようだが、姉の状態はますます悪化し、取り返しのつかないことになった」「『病院に行く必要はない』と言い切る両親の前で、弟である私にできることは何もなかった。このような現実を伝えたかった」と語った。
姉が放置された25年間、家族の生活は疲弊していった。藤野監督は「夜は眠れず、昼は普通の会話すら消え去り、日常が崩れて家に生ごみの臭いが立ち込めることも多かった」「何よりも、同じような遺伝子や環境なのだから、自分も発症するのではないかという不安が一番怖かった」と語った。その苦痛を知っているからこそ、藤野監督は韓国の精神疾患患者の家族に向けて「家族の中で全てを抱え込んだまま解決しようとせず、まず病気を認めた上で、患者が何を望んでいるのかを聞き、助けが必要なら専門家や医療につなげなければならない」と訴えた。その上で、「胃や肝臓の病気になっても恥だと思わないのと同様に、原因の解明も十分にできていない精神疾患に対して、家族が罪悪感を抱える必要はない」と言った。
藤野監督は「精神疾患患者とその家族を家から出られなくする『社会的偏見とレッテル』も打ち破らなければならない」と語った。「日本でも特異な事件が発生すると『精神疾患者の仕業だ』とみなしたり、『精神科病院に閉じ込めなければならない』と言ったりする人が少なくない」「こうした偏見が精神疾患患者とその家族を自宅に閉じ込めて孤立させ、さらに大きな社会問題を生む」「政府や自治体が治療に介入することも必要だが、患者の家族に対する支援も増やさなければ、長期にわたり放置される患者を減らすことはできない」と指摘した。
藤野監督の姉は50歳だった2008年になって初めて精神科病院に入院して薬物治療を受けたが、わずか3カ月で日常会話が可能になるほど状態が良くなったという。しかし、正常な社会生活まではできず、2021年に肺がんで亡くなった。
2026/09/16 08:00
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